[通常モード] [URL送信]

小説
from:



 郵便受けの中に赤い手紙。差出人を確認して封を切らないままシュレッダーに彼からの手紙を入れる
ヨハンは引き出しから青い便箋を取り出し彼に向けて手紙を書き始めた。
書き終えた後封筒に封をして郵便受けの近くに置いてある植木鉢の横に青い封筒を置いて満足気に笑い、街へと向かった



 食材と青色のレターセットを買って家に戻ると植木鉢の横にあったはずの手紙はなくなっていた。
次に手紙が来るのはいつだろうかと考えて、暫くはこないだろうと思うと身体が少し重くなったように感じた
シュレッダーに入れた手紙は粉々で、どんな言葉が書かれていたのか確認することもできない
読む事が恐ろしい。何が書かれているのか確認することが怖いんだ
 差出人の欄に書かれている遊城十代という名前を見てどこか安堵しては確認することを拒む
まだ十代が関心を持っているということが嬉しい。だからこそ、中身を確認することができない
お互いに抱いている感情に気づいてしまったからだろう。
手紙の中身は当たり障りのない事かもしれないし、十代がその想いに対してなんらかの反応をしているかもしれない。
 どこか、こんな中身のないようなやり取りを繰り返して今の関係が保たれているような気もしていて
このままでいる事が一番なのではないかと思う。


 赤い手紙が届いては封を切らずにシュレッダーにかけて、十代へ向けてしらじらしい言葉で手紙を書く
いつまでも続けばどんなに素晴らしいだろうか。
一層の事命が尽き果てる時まで続いていれば幸せだろう













 誰かに臆病者と笑われた気がした
















































(それでもいいさ!俺は十代とこうして接点を持つ事で幸せになれるんだから)








----
あとがき

すごく後味の悪い話になりました…。
やぎさんゆうびんという歌が小さい頃とても好きで
今考えるとふしぎな歌詞だなと思って、少々妄想しながら書いてみたのですが…

手紙をもらったヨハンさんが十代さんからの手紙の中身を確認していないよう、十代さんもヨハンさんからの手紙の中身を確認していません。
本当に不毛な中身のないやり取りなんです
地に足がついていない、水の中に漂っているような二人の関係にはそんなやり取りがぴったりで
それが二人の関係を保つ手段でもあったり。

どちらかでも確認するという行動をするとその関係は終わり二人の関係は変わってしまうのですが
二人とも臆病で、今の状態が一番だと思い込んでいる


そんなお話です。

[*前へ][次へ#]

52/71ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!