プロローグ
「さようなら、今までの私」
素足に屋上の床のざらつきがここまで痛いとは。破壊力が凄まじい、なんて。
そんなこと、今は全然関係ないのだけれど。痛かろうが、気持ちよかろうが、次の瞬間にはそれさえも分からなくなるのだろうだから。
考え直して。友達が、心配するよ。……なんて。
――そんなモノがいたら、今頃こんな所に居ないでしょうよ。
親は? 兄弟は? 従兄に、知り合いの人が――、
――生憎私にはそんなモノはいないらしいので。唯一その選択肢の中で居るモノと言ったら、親であるのだけれど。
今私が取っている行動の半分は残念ながらその人達のせいであるからにして。
………。心残りは無いの? なんて。
――そんなモノ、あるに決まっているじゃない。
じゃあ……!
――こんな馬鹿げたこと、止めろって? うん、今までの質疑応答をいったい何回繰り返したのでしょうか。
所詮、高校生の世迷いごとよ。私の中の私。貴女も私なら、それは理解しているでしょう?
「なーんて」
誰にも必要とされないって、相当に辛いことよ。
うん。だからね、要するに、何が言いたいのかというと。
要するにね。
この世界は、私には合わなかった、っていうこと。
――それを合図に、私の中から全ての音が消え去った。
やっと、苦労が終わると、そう思った。
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