2007年ゾロ誕 これは、昔のお話。 まだ、彼が小さかった頃。 「ほら!またこんな所にいた!」 「げっ、くいな!」 「げっ、とは何よ!!」 ガツン、と頭を殴られ、痛みで怯んだ。痛過ぎて涙まで出てくる始末。 「何泣いてんの。情けないわねぇ」 「うっせーよ馬鹿力!」 とっさに吐いた言葉に再び殴られる。多分、これは瘤になる。 「何でこんなに殴るんだよ!」 「あんたが約束の時間になっても来ないからでしょ!」 本当に馬鹿なんだから。そう笑って腕を引く。引かれるままに付いていくと、くいなの家が見えてきた。 「いらっしゃい、ゾロ君」 「こんばんは先生」 「早く上がって!今日はごちそうよ!」 会った時とは全く違う表情に恨めしささえ覚える。急かされ、食事をする部屋に入ると。 「すっげぇ!うまそー!」 「ゾロ君の好きなものを用意したからね。沢山食べなさい」 「おにぎりとかおにぎりとかおにぎりとか、あとおにg「先生ありがとう!」 にっこり笑って席に着く。くいなに睨まれた気がしたが気にしない。目の前に広がる料理に目を心を奪われ、それだけで幸せな気分になれた。 「あ、これ。誕生日プレゼント」 「おう!サンキューくいな!」 「いいえ。ねぇ、開けてみて?」 ばくばくと料理を平らげるゾロを見て微笑み、中を見るよう促す。 実はこれはダミーで、本当のプレゼントは他にある。笑いを取ろうと彼女が仕組んだのだ。 「‥‥お?何だこれ!ハラマキじゃん!」 (驚いてる驚いてる。じゃ、種明かし‥‥) 「すっげー嬉しいよくいな!ありがとな!」 「Σえっ?!」 今度は逆にこちらが驚かされた。まさかこの歳の子供が腹巻で喜ぶとは。 「ほ、本当にそれで良いの?」 「うん♪」 「無理、してない?」 「ぜーんぜん!」 本人が喜んでいるようなので、そっとしておこうと誓うくいなであった。 「じゃーな!先生、くいな」 「気を付けてね」 「わーってるよー!」 手を振る姿が小さくなる。 「くいな、良いものをあげたようだね」 「え?‥えぇ、まぁね」 (本当は地図とコンパスをあげようとおもったのに。あの子、すぐ迷子になるから‥‥) まぁいいか。そう笑って父と家に戻った。 Happy Birthday,Zoro!! (コメント) ゾロ+くいな。子供時代。 ――こうして「剣士ハラマキ」は誕生したのだった(笑) [Back][Next] [戻る] |