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ジャカク(甘)







受話器ひとつで君に会える。












「もしもし、カクじゃが」

「おう、どした?」

「暇だからかけてやったぞ」

「何様だ」


受話器の向こうでけらけら笑っているカクは、只今任務で出張中。まあそれはオレ達にとっちゃ何と言うこともない日常なのだが、前日入りというのは何となく暇になる。下手に島を歩き回る訳にもいかないし、特にフクロウを連れている時は絶対に目を離せない。

という訳で話が逸れた。





「島の様子は?」

「良い気候じゃよ、暑くもないし寒くもない」

「へえ、栄えてんのか」

「市場なんかは人がいっぱいで楽しそうじゃの」

「それで外出できないのはキツイな」


お前さんが今度の休みに連れて来てくれ、そんなことを言いながら笑うカクの顔が頭に浮かぶ。どんなに離れていても傍にいる気がして、でもそれは勘違いであるが良いと思っている。口にしたらまた馬鹿にしたように笑われるのだろうが。


「ジャブラー面白い話」

「んなもん簡単に出ねェよ」

「つまらん男じゃのう、だから女にモテないんじゃぞ」

「は、別に良いっつの」

「そうか‥ワシがいるから満足なんじゃな」



オレ達に任務さえなければCP9でなければ、もっと普通の恋愛ができたのだろうか。愛していると思いながらも大っぴらに出来ないもどかしさはこれからも抱えて行かなければならない。
それでも共に生きたいという願いは許されるのか。





「‥さて、そろそろ寝るかの」

「さっさと終わらせて帰って来いよな」

「無茶言うでない、作戦の順序というものがある」

「目標は午前中で帰島」

「‥‥頑張らんと」



港まで迎えに行ってやると言えば少しだけ嬉しそうな返事が聞け、こちらも満足する。

じゃあまた明日、と切れた電話は名残惜しい気もするが、あと半日もすれば生の声が聞けるのだと思えば諦めがついた。







話器ひとつで君に会える。



(実際会うのには敵わないけど)



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