ルチスパ(甘?)
がらら、瓦礫の下から口煩い同僚が顔を出した。至極不機嫌そうなその口から文句が出るのは既に解っている。
「いくら何でもこれはやり過ぎじゃあないかのう、ルッチ」
「提示されていた人数より遥かに敵が多かったのはあちらのミスだろう」
「‥‥ワシは始末書は書かんからの、叱られるのはお前さんだけにするんじゃぞ」
わざとらしく溜息をついて、カクは船へと戻って行った。
飼い主になりませんか
「で?この島への被害はどう弁償するつもりだァ?」
「憎くて仕方ない海賊共が去ったのですから、島民達もやる気を出して何とかするでしょう」
「あのな、気合いがあっても金がなきゃ家は建たねェんだよ」
「では長官の来月の給料から」
「何言ってんだバカ!」
指先で苛立たしげに書類を叩く定期的な音を聞きながら、直立不動を貫く。怒鳴られることなど、この上司に着いてから慣れ切っている。
「オイ、バカばっか言ってねェで何かまともなこと言ったらどうなんだ?」
「‥‥修理費を支払えば許して頂けるのですか」
「あァ?まあ‥それで上の奴らも島の奴らも文句はねェだろうな」
「わかりました」
あっさりと頷けば驚いたように目を見開くスパンダム。それから満足気な表情を浮かべて、コーヒーカップを口元に持っていき。
「払いましょう。身体で」
「っ?!おわっぶあっちいぃい!!」
「嗚呼‥何をしているのですか」
ほとんど予想通りな反応を見せてくれる長官へ近付き、ハンカチでコーヒーの零れた箇所を拭いてやる。熱さも混じったことにより更なるパニックを招いたようで、魚さながらに口を開閉させる様は失笑に値する。
不敵に口元を歪めて。
「何を狼狽えているんです?」
「てっテメェがいきなり変なこと抜かすから、だ‥‥っ!」
煩い口は塞ぐに限りますね長官。
散々スパンダムの口内を堪能した後、そう言ってルッチは笑った。
+−+−
身体で、というのはルッチが自ら修理に行ってきます、ということ
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