ロ+キラ(痛)
※ローの愛は歪んでる
※キラーが痛々しい
冷たい床に乗ったままの膝が軋んでいる。鎖に繋がれた手首も。
意識が朦朧としている原因はハッキリしているのに、その理由がわからない。
あの眩しい赤を探しても、見つかるはずもなくて。
「まだ生きてんだろ?キラー」
「‥‥‥‥」
「何とか言えって、溜め込むのは体に良くないぜ?」
「‥‥何故、」
「は?」
「何故‥こんなことを」
教えてあげない。
発した本人の表情は至極にこやかなはずなのに、さっきから震えが止まらないのは恐怖なのか何なのか、それを考える力すらない。
「殺戮武人、だっけ?お前。こう無抵抗になられちまうと拍子抜けすんなァ」
「‥‥抵抗したところで辞める気はないんだろう」
「ご名答」
殺してやる。
ろくに働かない癖に冷ややかさだけはある頭で確かにそう思った。
「フフ、怖いのか?」
「まさか」
「安心しろ、それほど楽には殺さねーから」
「‥‥それは、何だ」
先程からずっと、壁際に佇んでいるそれ。布を被っているが、人より少し大きいくらいのシルエットが見て取れる。
「あァ、これか?」
見てはいけない。
本能が騒ぐ。
「紹介しようか、オレの愛しい恋人を」
イ ヤ だ 。
「鉄の処女」
「‥‥ッ」
本能的にだが、心の底から会いたくないと感じた"それ"から布が取り払われる。
露わになったのは、聖女のような微笑みを携えた少女の像、というところか。見た目だけではどこにも恐怖を煽る要素はないのだが、見つけてしまったのは像の脇についている蝶番。
「開く‥のか、それ」
「お、よくわかったな」
「‥‥何が入っている」
「何もねェよ」
何もないなら開く意味もないというのに、どういうことなのだろうか。空っぽの容れ物。
重々しい音を発てながら、空洞の中身が晒される。微かに鉄の臭いがするのは名前からして気の所為ではないだろう。
「良い顔だな‥キラー」
「なんだ、これは」
「素晴らしいだろう?」
「あァ、悪趣味なお前にはとても似合っている」
「はッ、言うじゃねェの」
嫌味を口にしたところでローは顔色ひとつ変えない。そして彼の隣に鎮座している"恋人"の中身は。
「釘‥?」
「そうだ、ここに入った人間は穴だらけって訳だな」
―――だが一息には殺してくれないよ、この愛しい人は。
そう呟いた彼の、何と穏やかなことか。
「これを見た途端卒倒した人間がこれまで何人もいたが‥さすがに動じないな」
「お前も彼女に抱かれるんだよ」
「それから、ユースタス屋のところにに帰してあげる」
どんな顔をするんだろうな、あいつは。
どこか切なげな瞳に、頭上の鎖が無情に鳴る。全ての急所を外しているという釘達はじっくりオレを苦しめてくれることだろう。
嗚呼、何と哀しきこと。
(彼の人はオレを愛している)
ちょっと地獄までご一緒に。
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