カクジャ(甘裏/媚薬)
「月見酒ってのも悪くねェもんだな」
「そうじゃのう、今宵の月もキレイじゃし」
「あれさ、何かに似てねェか?」
2人きりで晩酌中、ふと見上げた先にある月。
限界まで欠けたそれは、ジャブラの言う通り何かを思い浮かばせるようなものであった。
まるで、笑っているかのような。
「チェシャ猫、かのう?」
「あァ、それかもな」
幼い頃に読んだ童話に登場してきた猫。人を嘲るような、皮肉めいた笑みを称えていたそれ。
「懐かしいのう」
「お前、ちょっと似てるかも」
「わしがか?猫ならルッチのが適役じゃろうて」
「それもそうか‥じゃああれか、帽子屋とか」
「Mad Hatterか?も少しまともな役が良いんじゃが」
酔いも回って上機嫌なジャブラの話に苦笑いして見せるカクが、何かを思い立ったように立ち上がった。不思議そうに見ているジャブラの頭を撫でながら、クスッと笑った。
「なら希望に応えて‥"いかれたお茶会"でも開こうかのう?」
「はあ‥ん、は‥カクッ」
「大丈夫かジャブラ?」
「てめ、何盛りやがった‥?」
「さあのう、いかれた茶会にまともなミルクティが出るとは限らんし」
とぼけたように首を傾げるカクを睨むが、膝を抱え縮こまった体勢では威嚇にすらならない。
「苦しそうじゃの、ジャブラ」
頬杖をついて怪しく笑むカクの視線から逃げられるはずもなく。
「なぁに、心配するでない。ちいと強めの催淫薬を混ぜただけじゃよ」
「ん、あッ‥は、う‥んん、っ」
「‥‥聞こえとるかー?」
「あ、あぁっ‥!」
快感に酔いしれるジャブラの熱いモノを握ればすぐにのけ反り達してしまったようで、白く濁った液体をカクの手の中に吐き出した。そのまま脱力することも叶えられず、搾り取るように扱き上げられ跳ねる体を抱きしめる。
「あ、あ、や‥っ、あっん‥」
「我慢しないで、全部出してしまえば楽になるぞ?」
「いっ、や‥‥あ、カク、んぅ‥‥」
喘ぎっぱなしの口をキスで塞いでやると、何と自ら舌を絡めてきたではないか。普段のジャブラならすぐに舌を引っ込め、引き出すのに苦労するのが常であるというのに。
潤んだ瞳で見上げられれば、何とか応えてやりたくなるのが男というもの。
それが愛しい恋人なら、尚更。
「挿れて、いいかの‥?」
「は、やく‥きてッ‥ん、あ、ぁああ‥!!」
薬の所為で随分と積極的なジャブラに翻弄されつつも、腰を揺らせば聞こえてくる甘い声に口元だけで笑みを浮かべる。
悪戯に頭を撫でてみれば擦り寄ってくる姿が愛し過ぎて、歯止めが効かなくなりそうになる己をぐっと抑え。
「愛しておるよ、ジャブラ」
耳元で囁けば背中に回されていた腕に力が入り、爪を立てられる痛みに苦笑い。しかし負けじと首筋に唇を押し付け、跡を残す。
過ぎた快感に涙を流す恋人が笑って、その幸せにしっかりと笑い返したMad Hatterなのであった。
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無理矢理なアリスネタ
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