【2位】阿部受(田阿)
好きじゃなきゃ、いやだ
「あべー!」
「ん、田島?‥‥わっ」
部活終わりの帰り道、突如として田島にタックルを食らった。後ろからまともに受けたものだから、前に倒れそうになったところを田島の腕に抱き留められる。
「いきなり何すんだよ!」
「帰りの挨拶してなかったなーと思って」
「そんなんでタックルすんなよ」
キッと睨んだところで目の前のコイツに効き目があるとはこれっぽっちも思わないが、とりあえず態度で示してみる。
「阿部、」
「‥‥なんだよ」
「サヨナラの、ちゅーは?」
笑って言いながら、うーっと唇を突き出してこられればしばしば眩暈を感じ。
「誰がするかっ!」
「いってえ!そんな殴ることないだろ?!」
「言っても聞かないからだろ!」
帰る!と怒鳴り付けてから背中を向けて歩き出す。周りで花井や栄口の苦笑が聞こえてくるが、気にしない。
「阿部!あーべ!」
「‥‥」
「あーべーたーかーやー!」
「‥‥」
「オレ様なバカ捕手!」
「黙れ赤点ギリギリな4番!」
咄嗟に振り返ってしまいハッとする。そこにはニヤリ、笑った田島がいて。
「阿部はオレのこと好き?」
「‥‥別に」
「じゃあ嫌いなんだ?」
「‥‥‥‥嫌いじゃ、ねえ」
いっつもバカ発言しまくりのくせに、こういうとこばっかりずる賢いやつ。
あんまりムカつくから顔を背けたら、頬を両手で挟んでぐいっと田島の方を向かされた。
自然と目が合う。
赤くなる頬、耳。
心臓がウルサイ。
ちゅっ
「‥‥っ、な」
「じゃーな!また明日!」
「え、ちょっ、田島!」
呆然としている間に田島は走って行って、オレは1人で赤面するばかり。
そんな時、田島が振り向いた。
好きじゃなきゃ、ちゅーしないかんね!
+−+−+−
これも初の田阿。
田島に押されっぱなしな阿部。
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