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【2位】阿部受(泉阿)
これは売約済み







泉は割とモテる方だ。少なくともオレはそう思う。可愛い感じの顔してて、性格は男前。そういうギャップがある。ちなみに、ギャップのある男って最近流行ってるらしい。

まあそれは置いといて。


泉はモテる。でもオレはそんな泉と付き合ってる。周りには今のところ秘密。

で、今日は泉と一緒に弁当を食べる約束をした。オレが頼んだら仕方ねえなーって、笑いながら頷いてくれた。



それなのに。







「‥‥よお。泉いるか?」
「あ、阿部じゃん。泉なあ、今女子に引っ張って行かれたぜ」
「女子?」


そうそう、と弁当を掻き込みながら田島。隣で三橋も頷いてる。

確かに泉の姿はどこにもなくて田島に話の続きを促した。


「泉君ちょっと来て!って、女子3人に連れて行かれた」
「‥‥そっか」
「あの雰囲気はコクハクじゃね?あとで問い詰めてやろー‥って、阿部?」


用事あったんじゃねえの?と田島に引き止められて、留めを刺されたような気分になった。

用事?そうだよオレは泉に会いに来たんだ。一緒に弁当食べようなって、昨日から約束してたのに、オレすっごい楽しみにしてたのになんで、



「泉に、また今度にしよう、って伝えといて」
「ん?おお、りょーかい。じゃああとでな」
「あ べくんっ、また、ね!」


にこにことこちらに笑みを浮かべる2人に、苦笑しながらひらひら手を振ってオレは9組を出た。














「お、阿部」
「あれっ戻ってきたの?」
「‥‥うっせークソレ!」
「なんでオレだけ?!」


今日は2人で食ってくれよ。そう言って7組を出たオレが戻ってきたものだから、花井と水谷の不思議そうな表情に出迎えられた。

とりあえず水谷に八つ当たりしといて、花井が座ってる隣の席に腰を下ろす。


「なんだ、随分しょんぼりしてるな?」
「よし、元気のない阿部にオレの弁当分けてあげる!」
「んーじゃオレはこれやるよ」
「え、ああ‥‥サンキュ」


何やかんやと気を使ってくれているのだろう、2人の妙な優しさに少しばかり照れる。まあ、泉には今度埋め合わせしてもらえば良いか。

そんなことを考えた、その時。







「阿部!」
「いっいずみ?!」


ドアの方から大声で呼ばれて、慌てて振り向いたらそこには泉が立っていた。息を切らせ、いかにも急いで来ました、って感じで。


「なんで、?」


確か田島に伝言を頼んだはず。そう思って混乱していると、泉が肩を上下に揺らしながら近付いて来た。


「なんで、はこっちの台詞だっつの。勝手に帰んなよ」
「だって泉、いなかったから」


まったく、と大きく溜息を吐いた泉に少々イラッとくる。元はと言えば泉が悪いんじゃないか。



「ほら、行くぞ」
「えっ?」
「良いから、弁当持って」


オレの腕を引っ張りながら、泉はぽかんとしている花井と水谷にじゃあな、なんて勝手に挨拶しこの場を去ろうとしている。

オレはというと、泉に置いて行かれないようにいったん開いた弁当を必死にまとめていた。










「泉、自分で歩けっから」
「‥‥ああ、わり」
「怒ってる‥のか?」


別に。ただそれだけの返事では怒ってると言ってるようなものだ。でもオレだって簡単に引き下がったりしない。


「さっき9組行ったら、女子に連れて行かれたって聞いたから」
「それで?」
「‥‥告白、だったのか?」


オレの台詞を聞いた泉が一瞬きょとんとして、それからすぐ笑い出した。オレは訳もわからず、ただ笑われているということに顔が熱くなる。


「何がおかしいんだよ!」
「ははっ、ごめんごめん。あれは違うんだよ」
「違う?」
「そ。CD返してもらっただけ」


それを聞いて、一気に恥ずかしくなった。勘違いして、1人勝手にイライラしたり哀しんだり、ほんと馬鹿みたいだ。


「ごめんな、あんな紛らわしいことして」
「いや、そんな謝らなくても良い‥‥って、泉?」
「疑いも晴れたとこで、屋上行くぞ」


腹減った。と笑いながら泉がオレの手を引いた。ちょっと待て。ここは学校の廊下で、他の目もあるのに‥‥!





「泉、手離せよっ」
「良いんだよ、皆にわからせるから」


阿部はオレのもんだって。



そう言って、にっこり笑った泉が走り出す。手を引かれたオレもまた、笑いながら廊下を走った。





+−+−+−
初の泉阿。色々悩みましたが、
感謝文ってことなので甘めで。

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