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春晴れ(グリドル)





俺の場所。いつも、あの人の隣。

何って、ただの車の席の話。





運転がロア、助手席がマーテル。その後ろが俺で、隣にあの人。


そんな事を考えていたら、上から声を掛けられた。


「おう、ドル。こんなトコで何してんだ?」
「いや、別に。ボーっとしてました」
「‥‥春だもんなぁ。‥っと、それより、ドライブ行こうぜ」


何か納得されたが、特に気にもせず。


「え?‥あぁ、いいですよ。ロア達は?」

いつも誰か連れてるのに、今日は1人ですか?

「今忙しいんだとよ。断られた。ロアも、マーテルもキンブリーも他も」
「そうなんですか。‥てか俺最後ですか?」


最初に来てほしかった、なんて言わないけど。


「いや、店に居なかったから。それより、行くのか?行かないのか?」

何をおっしゃる。断ったって連れてくくせに。


「はぁ。…行きますよ」
「そうか?じゃ早く行こーぜ」

そう言って嬉しそうに俺の腕を引っ張っていく。

目的地は車庫。


そこには、真っ赤なオープンカー。昔グリードさんが買ってきた。


“こんな派手なの誰が乗るんですか”って言ったら、“俺たちに決まってんだろ?”と返された。

ていうか、勝手に混ぜないで下さいよ。


車を目の前にして、はっとなった。

「どっちが運転するんですか?」
「ぁ?俺にさせる気か?」
「Σ俺が運転するんですか?!」
「当ったり前」


参った。

俺は運転得意じゃない。

…ありえねぇ(口に出したら怒られるけど)


「…ドル?あ、お前もしかしてペーパーだったりして!?」
「怖いくらいに図星なんですけど‥‥」
「マジかよ!?…しゃあねぇ、俺が運転してやる」

そう言って車に乗り込む。

俺はいきなりで驚くばかり。


「なんだよ?乗らねぇのか?」
「い、いいんですか?」
「特別だぞ?」


にっと笑うグリードさん。

「…本当に?」
「当たり前だろ。それとも俺を殺す気かよ」
「いや。…てか、貴方死なないでしょう」

今更ながらに突っ込みを。

「まぁな。でも事故ったらお前は危ないだろ」

何だか話がかみ合わなくなってきた。

毎度の事だけど。

「何でもいいけど、早く乗れよ」
「あ、はい」

そう言って助手席に乗る。

そしたら、グリードさんは何故かクスクス笑い出す。


「何で笑うんですか」
「いや、可愛い奴だと思ってよ」
「はあ?大の男に何言ってんですか」


というか、可愛いのはどっちですか。


「だって本当の事だしよ。んじゃ、出発ー」

急にアクセル全開。

吹っ飛びそうだ。


「グ、グリードさんっ!?危ないですよっ!!」
「気にすんなって。大丈夫大丈夫ー」
「そんな無茶なぁ―――――!!」


何を言っても聞いてくれるわけもなく、そのまま突っ走る。

そういえば、何処へ行くんだろう?





キキィッ…

またしてもいきなり車が止まった。

「着いたぜ、ドル。…っておーい、大丈夫か?」
「き、気持ち悪い…。ぅう゛‥ってここ、海ですか?」

気持ち悪さを堪えながら、周りを見ると、そこは海。


この季節、人はほとんど居なくて、俺と彼2人きりだった。


「何で海…?」
「何となく来たかっただけ」

そう言うとグリードさんは砂浜まで歩いていき、

スト、と座った。

俺も隣まで歩いて行って、座る。



「綺麗だなぁ。青」
「そうですね」

ポツリと呟いた彼の言葉に、にこりと微笑む。


ふとグリードさんの方を見ると、彼の紅い瞳に海の青が映って不思議な色になっていた。

それはすごく綺麗で、じっと見ていたら彼がこちらに向いた。


「何だ?どうかしたか?」
「え?いや。何でもないですよ」

急に笑いかけられて、ビックリした。

でも、何だか嬉しくて俺も笑い返す。



「なぁ、ドル」
「なんですか?」
「お前は死ぬなよ」
「はぁ?何無理言ってんですか」

冗談でしょう?と苦笑しながら答える。

俺は一応(笑)人間だし、そんなことできるわけない。


「はは、それもそうか」



そう言ったグリードさんの顔は、少し寂しそうに笑っていた。





(コメント)
またまたグリドル。
管理人が影響受けやすい為このCP何回もリバしとる(苦笑)

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