いとしきみ
(君と僕。/悠祐)
(うるさいなあ。)
その日は、無性にイライラしていた。理由はよくわからなかった。
だって千鶴がうるさいのはいつものことだし、要の説教だって流せてるはず。
春に対してイラつくなんて有り得ないし、悠太は‥‥
(あれ、悠太は?)
思えば、さっきから片割れの姿が見えない。他のメンバーも気付いているのだろうか。
「ねえ」
「?どうした祐希」
「‥‥ゆーたんは」
ぽつり呟くと、皆してきょとんっとして。すぐに、何言ってんだって笑って。
「悠太くんなら、2時間目が終わったあと早退しましたよ」
え?
‥‥‥‥今何て?
「‥だって何も聞いてない‥」
「え?ゆーき知らなかったの?!」
各々から驚きの声。クラスが違うんだから、知らなくても仕方ないじゃないか。
「でもなんで悠太くん黙って帰っちゃったんでしょう」
「つかさ、別にいちいち報告する理由もなくね?」
「ゆーたん、よっぽど具合悪かったのかもよ?」
「あの、さ」
「「?」」
思わず立ち上がっていて、自分でもビックリした。
「ちょっと‥‥早退するんで、あとよろしく」
「おー任せろ‥‥ってええ?!」
「ちょ‥‥祐希!!」
突然のことに驚き、わたわた慌てる千鶴と春。その中で、1人落ち着き払っている要。
「やってくれるねえ‥‥」
呆れたような声で言う、その表情は苦笑い。もうこれは何年も前から見ていること。
自分でも馬鹿だと思った。何で、こんなに走って。
「悠太‥‥」
家に着いて、自分たちの部屋に直行。ドアを開けると、ベッドに眠る兄が。
「ゆーた「やっぱり来た」
壁に向いて寝ている兄の後頭部に触れようとしたら、すっと振り返って微笑む。
「学校はどうしたの?」
「‥‥早退、してきた」
「具合悪いの?」
「‥そうじゃない‥‥けど」
何だか全て見透かされているようで恥ずかしい。今もし、じゃあ何故か、と聞かれたら、きっと僕は返事が出来ない。
―――君がいないのが、堪えられないほど寂しかったなんて。
+−+−+−
悠祐。ほぼ初。
兄×弟サイコー!!
でも双子×要も‥‥(←
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