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まっくろな愛情



花井の食べる飯作って、花井の着た服洗って、花井の為に生きて。

こんな幸せ、他にない。























ピンポーン‥‥



それは午後5時を少し過ぎた頃。俺は花井の帰りを待っていたのだけど、彼が帰るにはまだ早いな、なんて思いつつ玄関に出た。



「花井ー?」


ガチャ、とドアを開ける。そこに立っていたのは、身長こそ花井くらいあるものの性格が正反対と言って良い程違う、あの男。















「久しぶりだな?隆也」
「‥‥っ!」
「おっと、んな拒否んなくて良いだろ。わざわざお前に会いに来たってのに」
「もうアンタとは会う理由がありません」


慌てて閉めようとしたドアを無理矢理こじ開けて、つれないねえ、なんて笑う奴は紛れもなく俺の元恋人、榛名元希だった。

元って言っても奴が高校に上がるときに別れたから、2人きりで会うのは4、5年振りとなる。
何で、今更。





「また俺と付き合えよ。あんな奴より可愛がってやんぜ?」
「お断りします。俺はアンタなんか眼中にありませんから」
「‥‥そういう所が生意気だっつってんの」


バタン、ガチャン、と2回音が聞こえてきて、鍵を閉められたことに危機感を覚える間もない内に抱きしめられた。

息が出来なくなるくらい、強く、強く。





「いやだ、離せよっ」
「離さねえよ。‥‥来い」



抵抗も虚しく、ずるずると引きずられるようにして俺は榛名の車に乗せられた。後部座席にはチャイルドロックが掛かっているらしく、何度脱出を試みても上手くいくはずがない。




















俺はどこへ連れて行かれるのだろう。

花井は帰宅した時に俺がいなかったらどう思うのだろうか。

帰りたい。帰れない。




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あきゅろす。
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