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落ち着ける場所、見つけた



花井を待ってる間、恐くて恐くて仕方なかった。

帰れって言われたらどうしよう。そんな不安が押し寄せて来て。

けど、俺の恋人はそんな薄情な奴じゃないって、わかってるはずだったのにな。












「ん‥‥」


目が覚めると見慣れない天井があって、一瞬今の状況が把握出来なかった。起き上がってみてやっと、ここが花井の家だということに気付いて、本人の姿を探した。



「花井、いねーの?」


いくら見渡したって狭い部屋じゃ隠れる場所もなく、花井がいないのは一目瞭然だった。不思議に思っていると、テーブルの上の置き手紙らしきものを見つけてベッドから降りる。



“仕事行ってくる。6時前には帰るから大人しく待ってろな。冷蔵庫の中のもんは好きに食って良いから。 花井”



そこでやっと、あぁ花井働いてるんだっけ、なんて気付く。いつもならちゃんと連絡して2人の休み合わせてから会いに来るから、こんなことは無かったんだ。


「花井ー‥‥」


急に寂しくなって、もう一度ベッドに戻ると布団に包まった。ふんわり花井の匂いがして、少しだけ安心する。



(花井って、毎日1人でここにいるんだよな‥‥)



考えて、少しぞっとした。俺には無理だ。でも、それより今は腹が減ってしまったので止めた。


のそのそと立ち上がって冷蔵庫を開ける。あ、性格出てる。なんて思いながら必要なもの以外入ってなさそうで、きちんと整頓されている中を見る。

とりあえずすぐ食えるもん、と思って卵を取った。作るのも面倒だから卵かけご飯でいーや、なんて炊飯器を見たらちゃんと白い飯があって、ついでに鍋には味噌汁があったから温めた。うん、朝飯って感じする。





「いただきます‥‥」


1人で手を合わせる。あーくそ、早く帰って来い花井。すっごいつまんねえ。

ふと時計を見るともう午後2時。‥‥あれ、昼飯も過ぎてんじゃんか。



黙々と昼食(で良いや、もう)を食べてから食器を洗って、そこで。





(風呂入りてェ‥‥)


昨日は入ってないから、なんだかすごく入りたい。気になり出したら止まらない。入るしかない。


「っし、入るか」


思い立ったら何たらだ。俺はお世辞にも広いとは言えない風呂場に向かった。











暇すぎて困る。

や、突然押しかけられて1番困ってんのは花井か。


早く、早く帰って来て。

でいつものお人良しな笑顔で、仕方ない奴だなって言ってくれ。


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