可愛らしい矛盾(元隆)
「タカヤっタカヤっ」
「何ですか、モトキさん」
「猫見つけた!」
うきうきと俺の所へ駆けてきたモトキさんの腕の中には子供と思われる小さな猫が抱かれていた。
にゃあ、とこちらに鳴いてみせる姿とモトキさんを見比べたら何だか似ている気がして、思わず吹き出してしまった。
「何笑ってんだよ」
「いや、可愛いなと思って」
まだ拭いきれない笑いを堪えながら言うと、モトキさんは納得したのかニッと笑いかけてきた。
「だよなー、グランドの端の方にいたんだぜ」
「そうなんですか」
猫じゃなくてモトキさんも可愛いですよ。なんて口に出して言えないから心の中だけで思って、そっと子猫に手を伸ばす。
「あっ」
「うわ!」
俺が触れようとしたら、猫はじたばた暴れてモトキさんの腕から降り、そのまま去って行った。
あぁ、そんなとこまでそっくりだな、まったく。
ただぼーっと猫の後ろ姿を眺めていたら、不意に抱きしめられた。
「!」
「あーあ、タカヤのせいで逃げられちまった」
「なっ‥‥離して下さい!」
「イヤだね」
ぎゅううと抱きしめられると胸まで苦しくなる。何でこの人はいつもいい加減な癖に、こんな時だけ真剣な表情を見せるのだろう。
「あ、タカヤ惚れ直した?」
「‥っバカじゃないですか?!」
つい見とれていたらモトキさんがこちらに向いて、ぼっと顔が熱くなる。ついでに赤くなっていると思って、仕方なくモトキさんの胸に顔を埋めた。
「タカヤってかわいー」
「うるさいっ‥‥!」
からかうような口調にイラッとするけど、頭を撫でられると抵抗できなくて。
しばらく2人で抱き合ったまま、その場に立ち尽くしていた。
(コメント)
意外にも初元隆でした。
フリリクが阿部受ということで定番(?)のこれで。
阿部の受のルーツはここからだと信じて疑わない!←
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