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本気って奴を
見せてやる(花阿)





「花井ってさ」
「ん?」
「デカイ図体してる割に打たねえよな」
「はあっ?!」


げほっ、げほ、とジュースを飲んでいた水谷が噎せる。まったく何を言い出すのだこの男は。


「だってうちで1番デカイじゃねえか」
「いや‥‥いつだかも話してたけど、デカイだけで打てるとは限んねーだろ」
「何だ、見かけ倒しかよ」
「‥‥っ、あのなあっ」


流石にイラッときたから少し声と態度に出したら、水谷にまあまあと宥められた。喧嘩する気もないので仕方なく落ち着いて。



一体、何が不満だというのだ。



「そういうところがダメなのかもな」
「‥‥何が」


まだいくらかムッとしたまま頬杖ついて言うと、サラっと事もなげに阿部は呟いた。


「人の言うこと素直に聞いちまうところ」
「‥‥誰かさんみたいに捻くれてんのもどうかと思うけどな」


わざとらしく言ってやる。ここで水谷が本格的に慌て始めた。


「あっ、あのさ、ホラ!授業始まっちゃうよっ」


その声に仕方ねえな、と胸中で思いつつ教科書を用意していると、阿部がニヤリとこちらに視線を向けているのに気付きハッとした。‥‥更に少し凹んだ。



(‥俺、素直過ぎんのか‥‥?)















それから数日たったある日、練習試合で。


今ちょうど8回裏。俺ら西浦は後攻。打者、泉。一塁には栄口で二塁に田島がいる(あ、都合良いなとか言うツッコミは無しな)。


泉の次は俺だから、ネクストサークルに入ろうと準備してたら阿部に声を掛けられた。何となくこの間のことにまだムカついていた俺はそちらに振り向くこともなく返事して。


「梓さん」
「‥‥名前で呼ぶんじゃねえ」
「打てよな」


その言葉に驚いて咄嗟に阿部を見たら、真っ直ぐな視線を寄越されて何故かドキリとした。





「花井!ネクストサークル!」
「あ、はいっ」


シガポに呼ばれて慌てて動き始める。ベンチから出る寸前で、首だけ回して阿部に視線をやり。





「見てろよ」
「?」
「俺の本気って奴を見せてやる」



首を傾げる阿部に不敵に笑ってやって、俺は青空の下に出た。





(コメント)
はなべ練習。
この後花井がどうなったかは皆さんの想像にお任せ!


泉が一塁入って満塁、
そこでホームラン打って阿部に見直される、でも、花井らしく(←)満塁のプレッシャーに負けて打てなくてしばらく阿部に笑われる、でもご自由に(笑)

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