困らせている顔が
すきだと思った(泉阿)
「なあ阿部」
「ん?」
「どこ向かってんのオレ達」
さあ。あっけらかんと答えた我が恋人を凝視する。どこへ行くかもわからず山手線に乗ったのかオレ達は。これではまさしく堂々巡りである。
「どっか行きたいとこは?」
「泉のいるとこ」
「‥どこでも良いわけだな」
車内といえども外からの日差しが強く、間違いなく暑い。
暑さ寒さに頗る弱い阿部は黙り込んでしまった。どうにか打開しようと考えるも、いかんせん自分も暑さは苦手であった。諦めるために溜息をひとつ。
「‥暑いな」
「おー」
「適当に返事すんなよ」
「‥‥んー」
このままでは2人でオブジェと化す羽目になるだろう。好きな相手とならそれでも構わない、という訳にもいかない。またオレは悩み出す。
「あ、田島だ」
窓の外を見れば野球部の3、4人が歩いていた。その中で、こちらを見つけたのか田島が大きく手を振っているのを見て、2人そろって苦笑い。
「降りるか」
「そうだな」
「2駅先で」
「‥‥ああ、うん」
頷いた阿部の横顔を見ながら、駅を出たら、もしくは駅の中でも良い、どこか冷たいものを食べられる涼しい店に入ろうと思った。
+−+−
フリリクの泉阿でした。
無口なイメージの2人。
何となく抜けちゃう阿部と、さり気なく思いやれる泉って感じで。
リクありがとうございました!
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