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反則!(花田)





「はーないっ♪」
「おわっ、た、田島!」
「たまごやきちょーだい、花井!」



早弁してたら後ろから田島が突っ込んできた。いきなりだったから喉に詰まらせそうになって慌てて飲み込んで、キッと振り返りつつ未だ俺の背中に引っ付いてる田島を睨んだらニコニコとこちらに口を開いて待っていたから怒る気も失せて、一つ溜息を吐いた。


ほら、と箸で自分の弁当箱から卵焼きを掴み上げると、早く早くと急かすようにして待っている田島の口に放り込んだ。





まいっ!!」


もぐもぐと口を動かしながら、ありがと!と礼を言う田島。ちょっとばかし可愛いな、なんて思ったのはもちろん内緒で、水谷の声で我に帰る。そうだここは教室だ。



「よかったなー田島」
「おうっ。花井ンちの卵焼きちょーうまいんだぜっ!」



最近、田島は毎日俺の弁当に入っている卵焼きを食いに来る。それは決まって俺ら7組メンツが早弁してる時で、もしかしてどっかに隠しカメラでもあんのか?ってくらいジャストタイミングでやって来る。日によって田島1人だったり三橋と栄口が一緒だったりするから、阿部も水谷もあまり文句は言わなかった。

まあそれはどうでもいいけど。



俺は田島の為に毎日卵焼きを入れてくれるよう親に頼んでいたりもする(いや、本当のこと言うとまたからかわれるから適当に理由作って、な)。いつだったか阿部が餌付けみてえ。なんて言っていたのもお構い無しに。








「田島、次の授業始まるぞ。教室戻れ」
「ん。わかったー」



とは言うものの水谷との会話を止めない田島に多少イライラしつつ勝手にしろとばかりに放っておいた。





「なあ田島、花井の弁当で1番好きなのって卵焼き?」



何でそんなこと聞きたいのかわからないが、水谷は興味津々で尋ねる。うーん、と田島はしばし考え込むと肯定の返事をした。


「俺、花井ンちの卵焼きだいすきっ!」
「へえ。良かったなあ花井?大好きだってよ」


阿部が何かムカつく笑顔で言う。奴は俺が田島のこと好きなのを知っている。出来るだけ冷静に、うるせ。と返すとこれまたムカつくニヤ、という笑み。





そうこうしているうちに、とうとう始業のチャイムが鳴った。あ、やべ!と田島はやっと慌てだし、じゃあな!と手を振ってドアの方へ向かって行った。



戸口に立ったところで、くるり振り向いて。









「でもさ、俺卵焼きより花井のが好きだぞ!」



ニッと笑って発せられた台詞に、一瞬にして顔が熱くなる。少しの間呆然としていると横からの視線(ニヤニヤとした阿部&驚いたような水谷)に気付いてしまった。冷や汗なのかなんなのか、つーっと頬から顎にかけて雫が伝い、ぽたりと落ちる。






「ゆでダコみてえだな」
「花井どうした?大丈夫っ?」
「っ‥‥!」



水谷のバカは放っといて、俺はとにかく阿部のからかうような視線から逃れるために机に伏した。もういい。こうなったら寝たふりしてしまおう、と。するとバカ(酷)からとどめの一言。











「耳まで真っ赤だよ!」



ああ水谷お前は何でそんな余計なことをだから阿部にイジメられるんだろバカ!!と怒鳴りたい衝動に駆られるのを何とか抑えて、俺は本気で寝に入ろうと決め込んだ。











その笑顔、反則!











(コメント)
花→田って感じで。
無邪気な神に梓はたじたじ(笑)
たまごやきちょーだい!って言わせたかっただけだったり←

水谷がわかんない!阿部は何気に動かしやすい。
でも何か違うなあ‥‥。

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あきゅろす。
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