どうかこのままで(花阿)**
世界が引っ繰り返った。
いつも見ているはずの天井はどこか違うものに見えて、でもそれを理解するだけの余裕はなかった。
「‥っは、ぁ‥‥も、い‥から、はないっ」
ぴちゃり、ぴちゃりと、響く水音は、ゆっくりだが確かに脳内を独占していった。
「ね‥‥はな、んっ」
突然、舌が入ってくる感触。背筋がぞわりとして、身体は自然とのけ反る。
花井は口を開かない。聞こえるのは卑猥な音と自分の声のみ。
「‥あっ‥も、やだ‥って‥‥っぁ、あ」
言葉での抵抗は虚しく空気に溶けてゆく。このまま自分も蕩けてしまいそうだった。
「ゃ‥‥あ、おねが‥ッん‥」
そこで、やっと花井が起き上がった。ずい、と顔を近付けて、にこりと微笑む。
その間、指先はずっとオレの秘所を撫でていて。
「もうちょい、我慢できる?」
「むりぃ‥‥っ、あぁ‥‥い、あっ」
オレの台詞が終わらないうちに、その細い指は中へ入ってきた。
知り尽くされた身体は、もちろんイイトコロも熟知されていて、すぐにぐりぐりと刺激される。
跳ねる腰。
「‥ああっ、はない‥っんぁあ」
ぎゅう、と花井がオレの肩の辺りに付いていた腕を掴む。空いた片手はシーツをしっかり握りしめ、堪えた。ただひたすら。
「やめ、っイ‥ちゃう‥‥ッ」
「良いよ、そろそろ苦しいだろ」
いつの間にか3本になっていた指が揃って、ぐちゅりと音を鳴らしそこを突く。
「ひっ‥‥あ、あぁあッ!」
勢いよく飛び散る白濁の液体。
一気に身体から力が抜け、くたりと横たわる。息はまだまだ整いそうにない。
「大丈夫か?」
「‥‥なん、とか」
頷けば、やっぱり向けられる優しい微笑み。何て、扱いの上手い男なんだろう。今のオレには、与えられる苦痛すら愛しくなってしまっている。
「いい?」
頬を撫でられて、その瞳に捕まってしまえば受け入れるだけだ。
「‥‥あ、っ」
「可愛いな」
熱く硬い花井がぴたりと宛がわれ身体を震わせたら、額にキスをもらった。ああ愛しい。この瞬間こそ至福の時。
「ぁ、あ、っあ、‥‥ン、」
「苦しい、か?」
「‥‥は‥はあっ、‥いっぱい‥‥っ」
中が花井で満たされていく感覚に比例して、零れんばかりの幸せが込み上げる。
「動くよ」
ふんわりと告げられた言葉のすぐ後、視界が揺れ始める。
「‥ゃっ‥‥ん、あ‥、んン」
止まらない世界で、必死に目の前の、花井にしがみ付いた。どこかに独りで置いて行かれそうで、怖かったから。
「ぁあ、はな‥いッ‥‥ぅ、あ‥‥ん、」
花井はずっと抱き締めていてくれた。激しい揺さ振りの中でそこだけが優しく、自然と涙が溢れ。
「っない‥‥もう、こわ‥‥れ、‥ッ‥」
「壊れたら‥責任とってやるよ」
「‥ぁ、んっ‥‥ふ、ぅ‥んん‥‥」
開きっぱなしの口から覗く舌を絡めとられ、更に絶頂への道を上り詰めていく。
花井しか見えない、見たくない。
オレの世界に彼以外いらない。
「‥‥っき、すき、‥っあ、はない‥」
「オレも、」
愛してる。
「ひ、あっ‥ん、ッああぁあ!」
「‥‥、っ」
どくどくと注ぎ込まれる花井の白濁の熱さ。
貪欲だと笑われてもいい、全部ちょうだい。
全部ぜんぶ、花井ごとくれよ。
「‥‥阿部、大丈夫か?」
「‥うん。‥‥‥‥ぁっ‥」
ずるりと抜けていく。
花井とオレがまた別々のものになってしまう。
せっかくひとつになれたのに。
また一筋、涙が零れた。
「泣くな、阿部」
「っ‥‥花井‥」
潤んだ視界、でも閉じるのは勿体なくて、見つめたままでいたら強く抱き締められた。
「好きだよ、」
その腕に、その言葉に、その人の暖かさに、安心して目を閉じた。
君がいてくれるならきっと、オレは何でもできる気がする。
だから、その優しい鎖でいつまでもオレを繋いでいて。
+−+−+−
フリリクの花阿どエロです。
「ど」付きますでしょうか‥‥?(はらはら)
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