恋焦がれる仕草(栄阿) 栄口はとても綺麗に笑う。 その笑顔はオレには眩しすぎて。 「阿部ー数学の教科書貸して」 「お、栄口か。珍しいな」 「宿題やってそのまま家に置いて来ちゃったんだ」 「ああそっか。‥‥ん、今日うち数学ないから返すの部活の時で良いぞ」 「わかった、ありがと」 なんでお前はそんなに優しく柔らかく笑うんだろう。 (きっとオレには触れない、その笑顔がオレは欲しい) +−+−+−+−+−+ 「あ、そうだ。栄口」 「ノートでしょ。はい、ありがとね」 「どーいたしまして」 阿部は気づいているのだろうか。 オレが借りたものを返すとき、手渡したそれを見て嬉しそうに笑う自分に。 (だからオレはわざわざ7組まで行って、花井でも水谷でもなく阿部に借りるのだということに) 阿部は気付くだろうか。 ノートの端に赤ペンで書いた、 「好き」の2文字に。 (栄口ッ‥‥!) (あれ、どしたの阿部?) +−+−+− 先手必勝な栄口(? 片思いのようで実は両思い。 [*Back][Next#] [戻る] |