魔王様ご一行
に
自称:魔王のレインは、不敵な笑みを浮かべた。
「俺様を追い出すなら、俺様はこのことを言うぞ」
「や、やめろって!」
隼人は焦った。レインは知らないから、平気で言うに決まっている。彼女達の恐ろしさを──。
「だったら、俺様がこの家に住むのを許可しろ。てめぇも俺様も万々歳だ」
レインは思いっきりふんぞり返る。
「いや、でもさっ。親がいない今、お姉に了解もらわないと……」
「だったらお姉に事情を話せ。絶対許可もらえよ。無理だったら……どうなるかわかってんな?」
「う……」
レインは隼人が困ってるのを見て、楽しそうに笑っている。
隼人の頭の中で、魔王を居候させるのと、莉々子と朱里の復讐を受けることが天秤に掛けられた。
「……どうしよ」
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「あなた、頭狂った? ほらほら、正直に言ってごらん?」
事情を話した隼人は、莉々子にそう言われた。
全く信じてないらしい。当然と言えば当然だろうか。魔界に住む魔族の魔王だなんて、隼人も信じていない。
「お兄。ネジが一本、そこに落ちてるよ。なんなら、入れ直してあげようか?」
朱里が愛用のピコハンを片手に、笑いながら言った。
「おい、隼人」
レインは隼人の服の裾を引っ張った。
「ネジが落ちたってどういうことだ? 許可してもらえたのかよ?」
「全然。お前が魔族ってこと信じてないから……あっ」
隼人はレインの頭にかけたままのタオルを見た。完璧に信じてもらえないかもしれないが、仕方ない。
「お姉、朱里。これを見ろ」
タオルを取り、レインの特徴的な耳が露わになった。
「わぁ……耳だ……」
朱里が彼の耳に釘付けになった。莉々子も同じだ。
「まだ猫耳、犬耳なんてのだったら可愛げあったのに……なんで生えてるの?」
「そんなん俺が知るかっ! 生まれつきだっ!!」
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