魔王様ご一行
ご
「お前、どういうつもりだ?」
莉々子達をごまかし、なんとかレインを2階の自分の部屋へ引っ張って来た隼人は、彼にそう言った。
「勝手に人ん家入ってるし、あの物言いだし。あと少ししたら出てけよ」
「てめぇ、隼人っていうのか」
「そうだけど……って、話聞いてなかったのか?」
「なにが?」
やっぱり聞いてなかったらしい。
「だからだな……」
「お姉ってのは、例の殺人的料理のだろ? あのチビは誰だ?」
「朱里だよ」
訊かれて隼人は答える。
「ああ〜。てめぇが割ったカップの持ち主な」
全く嫌な言い方をする奴だ。
「妹さ」
「3人姉弟の真ん中なのか?」
「そうだよ。……どうした?」
レインが神妙な顔をしているのに気づき、隼人は訊いた。
「……同じ。俺様も、3人姉弟の真ん中……」
「お前、きょうだいいんの?」
「姉と弟な」
「へぇ」
同じ立場なこの男に、少し親近感が湧いた。……変人だけど。
「姉と弟とは仲いい?」
「てめぇはどうなんだよ。お姉と朱里とは」
聞き返されてしまった。
「まぁ、いい方かな。3人だけで生活してるし」
「親はどうした?」
「海外で仕事。いないも同然に近いな」
軽く笑いながら言ってレインを見ると、彼は俯いていた。
「そんな暗くなんなよ。気楽な3人暮らしはいいって」
「いや、4人だ」
「え?」
レインは顔を上げて隼人を見た。顔が眩しいばかりにキラキラと輝いている。なんとなく嫌な予感がした。
「俺様も住むぜ、この家」
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