魔王様ご一行
ご
「あーあ。学校壊しちゃったね。いけないんだ〜」
「貴様、弁償しろ」
「やったのは私ですが、やれと言ったのは……」
ウラノスがチラッと隼人を見、そして全員の視線が、隼人に集まる。
「お、俺か? 俺のせいか!? 確かにやれって言ったけど!」
「ちょっと。悪いことしたってわかってる?」
「わかってるよっ。学校壊してんだぞ!」
「貴様、弁償できるのか?」
「で……きない! こんな私立の高級校舎!」
「まったく、仕方のない人ですね」
「そもそもあんたが原因だろっ!」
順番にツッコんでくる3人に的確に返し、隼人は頭を抱えた。
「ああもうっ。なんでいつもいつも俺ばっかりこんな目に!」
「そりゃあ、そういうキャラだから」
「ですね」
「……救いようがないな、貴様」
「うるさいっ」
だがシャミィの言うとおり、知り合って間もない半魔にまで言われては、本当に救いようがないかもしれない。
(俺って一生こんな役回りかも)
ちょっぴり将来を悲観したとき、ふと、ひび割れた床の隙間から、光がもれているのが目に止まった。明らかに下の階の光とは違う。
「あれなんだ?」
「! いけません……っ」
ウラノスが止めるのも遅く、隼人は光に手を伸ばした。すると──
「!?」
隙間の光は、突然光柱を上げ、隼人を包み込んだ。
「な、なんだっ!? 一体どうした!?」
「……おバカ。しかし良くやった!」
シャミィはそう言い、隼人を包む光に飛び込んだ。そして──
次の瞬間には、真っ暗な闇を落下していた。
「なんでなんでなんで!? なんで落ちてんだよ、おい!」
「魔界への道だ。そんなに混乱するな。前にも通ったではないか?」
「そうだけどさ!」
確かに以前、魔界に来た時も闇を落下したが、学校の廊下から突然闇に放り込まれて、混乱せずにいられるだろうか。
「……まぁいいや」
隼人は大きく息を吸って吐き、気持ちを落ち着かせた。
「なんだ?」
「もういい。慣れた」
「……順応性早いな、貴様」
(そうでなきゃやってられないっつーの!)
言ってやりたかったが、それはそっと心に封印した。
やがて底が白く光り、2人はその光に包まれた。
[*前へ]
無料HPエムペ!
|