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魔王様ご一行


さん

「ま、レインのことはいいとして……」

「もういいのかよっ」

「じゅうぶん感謝してるよ〜? 溜め息も吐いたし」

「そうよ。今更言っても、いないんだし」

「そうだけどさ……」

切り替えの早い莉々子と朱里に、隼人はあ然とした。

この2人にはいたわりの気持ちが欠けている。著しく……!

「ところでクラド、聞いたか? レインが魔界に戻ったと」

「強い魔力を感じませんからね……やはり、もうこの世界にはいないでしょう」

隣では、シャミィとクラドが話しを進めていた。

「レインが魔界へ帰るというのに、なぜ止めなかった?」

「いや、帰ろうと思って帰ったわけじゃなくてだな……」

「なんだ。ハッキリしない奴だな」

「元はと言えば、落とし穴に落ちたからだよっ」

「穴ァ?」

シャミィは、わけがわからんという顔をした。

「お前の作った穴が、魔界に通じてたんだよっ!」

隼人の言葉を聞き、クラドはしらっとした目でシャミィを見る。

「わ、わざとではないっ!」

「シャミィ。あなたという猫は、本当に仕方ないですね。作戦Eはおろか、Bまで失敗するとは……」

「失態は認めるが猫ではないっ」

「まあ、俺達は良かったと思ってるけどな」

「そうね」

莉々子は頷き、朱里は言った。

「レインは魔界に帰りたがってたし、千年ぶりにお姉と弟くんにも会えるんだし」

だが、それから空気が変わった。シャミィとクラドは、口を開いた。

「……城に帰ったところで、レメディ様もマガルギ様もおらんわ」

「なんで?」

「レメディ様は、亡くなりました。レインが封印された、数ヶ月後に」

「「「亡くなった……!?」」」

隼人達3人の声が、綺麗に重なる。

「ちなみに、レインが封印されたのとほぼ同時に、マガルギ様は失踪された。見つかっていないが……すでに亡くなっていると四天王は判断した」

「お二人は、暗殺されたとの噂もあります」

「……おいおい。じゃあ今……国は誰が……」

「先代の弟君だ。独裁国を展開し、国は見違えるほど変わってしまった。あそこにレインの居場所はない」

衝撃だった。レインはきっと、故郷のこと、姉弟のことを想いながら、ずっと千年間、待っていたに違いない。

いつかまた、会えると信じていたに違いない。

なのに、その居場所はもうなく、姉弟もいないなんて──

「……あんまりじゃないか」

悲しいと悔しいとも、怒りとも取れる感情が、隼人の中に渦巻いていた。

「レインを封印したのは四天王……そいつらは、マガルギを魔王にしたかったから、レインを封印した。じゃあ、弟を殺したのは誰だよ!?」


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あきゅろす。
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