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:> 残ったのは虚無感




失敗した。本当に失敗した。
屋上で昼寝をしていたら草食動物達が来て弁当を食べ始めた。
僕の眼の前で群れたし、うるさいから咬み殺そうと思ったのだけれども彼女が居たから少し様子を見る事にした。

彼女と言うのは叶野美夜の事で、とにかく変な奴だ。

入学式の日朝一番に登校して来て表彰台の上に立ち並中の校歌を熱唱したり(上手かった)、放課後屋上で大の字になって寝ていたり…恥がないのか、授業をサボってまで図書室の本を読破したり、並中の七不思議に挑むために夜中に校内に忍び込んだりと地味に変で僕の仕事を増やす。

校内に忍び込んできた時は(たまたま仕事があって)残っていた僕が態々注意したのにも関わらず僕まで巻き込んで七不思議を解決していった。彼女に脅しは効かない…咬み殺そうとも逃げ脚だけは早い。

そんな彼女がめずらしくうれしそうにしていたので弱味…探りをいれようとした。
だけど、ただの食いしん坊なだけだった。

呆れかえっていたらいつのまにか忘れ物?落し物の話になっていた。あの忠犬が3階の教室で拾ったと叫んでいたからおよそ3年の物なのだろう。

て、より何でこんなに真剣に聴き耳立ててんだ?まるで変態見たいじゃないか。
そろそろ咬み殺しにでも行こうか、

立ち上がって学ランを羽織直すと美夜の声が聞こえた。

―「もしもーし、雲雀ですけどー」

グシャッと眼を通していた書類を握り潰す。あぁ!!思い出したら腹立ってきた。誰に掛けたか聞いたがどこの誰だか分からないと返って来た。普通どのこの誰だか分からない相手に人の名前を使って掛けるかい?

おまけに電話に出た相手が人間じゃないときた。
それでもしかしたら名前を出した僕に会いに来るかもしれないだって?何で関係のない僕が変な事に巻き込まれているの?もう、彼女にかかわるのは止めよう。碌な事がない。

で……

「何さこれ」

机の上に置いてあるのはその問題の忘れ物。
見た目は何の問題もない携帯だ。どーしてこれを僕が所持しないとならないのさ。
なんの嫌がらせだよ…
あ、そーいえば彼女のゲーム機ゴミにだしたんだっけ。これはゲームの呪いか。そうか、本当に咬み殺したい。

―ガラっ 「雲雀くーん」

腹立つ奴が来た。今一番殺したい奴のお出ましだ。
それで何?その黒い長髪のヅラは僕に嫌がらせかい?「ひゅーどろどろ」とかうざいんだけど、井戸ねーし。全然恐くないんだけど。

「何?咬み殺されにきたの?」

「いんや。仕事をがんばっている雲雀君に差し入れをね」

黒いソファーに堂々と腰を懸け机に弁当を広げる。
「あっちー」て言いながら被っていた長髪をとって自分で持って来たらしい扇子で仰いでいる。
僕も取り合えず彼女の前の向かいのソファーに腰をおろして、携帯を投げる。
「あぶなっ!」見事携帯をキャッチして弁当の隣に置く美夜は別に恐くはないらしい。
まぁ、彼女らしい。

「せっかく雲雀が怖がっていると思って来てやったのに」

「余計な御世話だ。それに君が昨日の放課後僕の下駄箱にソレいれて帰ったんでしょうが」

「まぁね、危険物だから風紀委員長さんに預かっといてもらおうと思って」

「いいじゃない。危険人物と危険物が一緒に居れば何も起こらないだろう?」

「それ、そっくりそのまま返すわ」

文句を言いあいながらも弁当を突く。以外に上手い、流石味にうるさいだけの事はある。てか、どこで僕がハンバーグ好きて知ったんだ?
うまいからいいけど。

残ったのは虚無感

お弁当を食べ終えると彼女は勝手にお茶を煎れて僕の前に湯呑みを置いた。
平然とお茶を飲むから、文句を言うのも疲れて大人しくお茶を飲んだ。
ほどよい苦さ、お茶を煎れるのもうまいのか彼女は。
お茶を飲み干すと弁当を片付け「ん、じゃ」と立ち上がる。

「待ちなよ。」

「なんよ。一緒にいたいのか?」

「君とは死んでも一緒に居たくない。そのヅラと携帯持ってきなよ」

「けっ!…いいよ。やるよ」

「いらない。」

冷たく反せばこれ以上はヤバいと判断したらしく溜息を吐いてヅラと携帯を手にとった。

「危険物をこんなか弱い女の子に押しつけるなんて最低―」

「ワォそれを僕に押し付けた君は最低じゃないのかい?」

「一人暮らしの女の子はいつも危険と隣合わせなの。なんか会ったらどーすんの!」

「…安心しなよ。ありえないから」

「はいはい。どーせありえませんよー」

べーと舌を出して応接室を出ようとする彼女に僕は何故か声をかけていた。

「どーせ僕のケー番知ってるんだろう?何かあったら電話してくればいい」

「え、まぁね。リボーン君がすんなりとね」

何照れてんのさ。
てか、知ってたのかよ。冗談で言ったつもりなんだけど?トランプで勝って番号貰った?人の個人情報賭けちゃってるのかよ!




あきゅろす。
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