あーもーどたばたうるさいっ!特にツナの「やべーっ!」て声が一番うるさい!布団にもぐってうつ伏せになろうと寝返りをうったらなにかに激突した。 「いだい」 「そりゃ痛いだろうな壁に激突したんだから」 「…なんでツナがいんの。そんであたしは何故床で寝てる?道理で寝心地が悪いと思った」 「人の部屋で爆睡かましてた奴が何言ってんだよ!」 …そう言えば浅黄をあたしの家で寝かしてあたしも寝ようと自室に行こうとしたらリボーン君にめちゃくちゃ強い力で服を引っ張られて仕方なくツナの部屋に来て糞な両親に浅黄を任せるって聴いてそんでイタリアに行く行かないの話しに変わってそこから覚えてないから寝ちゃったんだろうな。 時計を見たら7時50分で下からツナのお母さんが「遅刻するわよー」と呼んでいる。 「既に遅刻じゃん」 「まだ急げば間に合うから!着替えるんだから部屋からでろよっ」 「まだ眠い」 だってツナん家に来たのが5時くらいでそれから話して30分たってるから睡眠時間は約2時間半。むりむり。今日は遅刻決定。 ツナはあたしより寝るの遅かった筈だからもっと眠いのに偉いなあ。すんげえ目に隈できてるよ。まあ、勉強机の上で銃を構えて「遅刻したら利き腕なくすと思え」なんて冗談に聞こえない事言われちゃ急ぐしかないか。 「ぼーっとしないで出てけよ!自分の家に戻って寝ろ」 「…この床痛いしな。ツナの母上のご飯食べて寝るか」 「いや、さっさと帰れよ」 着替えなんて別にあたしが居たって気にするなよ。あたしは気にしないぞ。あ、そういやこれお化けさんの血ついたままのワイシャツじゃん。時間たっちゃったから落ちないだろうなぁ。 しょうがないから新しいのを学校行く前に買って渡すか。焼きそばパンの次はワイシャツか。ほんとにかわいそうだ自分。 ツナの母上のニコニコと和む笑みを見ながら美味しいご飯を食べるって幸せだなあ。汗って階段を下りてきてガーっと口の中にご飯を詰め込むツナは大変そうだ。廊下を行ったり来たりしたかと思うと玄関に突っ走って元気よく「いってきます!」を言うツナになんだかちょっとだけ凄いなって思った。 獄寺がツナを迎えにこないって事はあいつはまだ寝てんだろうな。京子や花ちゃんに起きてるか確認のメールしようかと思ったけど携帯を開く気になれなくてやめた。 昔は美人さんでいい人が憎まれて酷い目にあったんだけど今では逆になったから余計に恨みはつもるばかりで彷徨い続ける人もいるんだろう。 『愛する人がいればそれでよかった』 彼女達のその思いが引き合わさってあんなことが起きてしまったんだ。 2人とも純粋な思いだったのに… 外に出るとあの時とは違い外は日の光で凄く明るかった。 「寝るにはちょっとまぶしすぎるかな」 ほんとに元の世界に戻って来たんだ… らき れみ まが す幸 よせ うで にい あの恐怖体験から1週間が過ぎた。結局あの日、学校にちゃんと登校したのは俺と黒川と京子ちゃんで山本は1時間目の半ばに、獄寺君は2時間目が終わってから来た。そしてお昼になって美夜がまた黒の長髪の鬘をかぶって登場しやがった。驚いて皆後ずさりしたけど馴れっておそろしいな、直ぐに冷静になり一斉にアイツに近づき文句を言ったりさりげなく脅したり、獄寺君は叩いてた。俺は勿論その鬘を没収したよ?これであいつからヅラをとるのは2回目だ。どうやってあいつは制作してんだろ? 次の日、浅黄さんはリボーンから話を聞いて快く仕事を引き受けて迎えにきた美夜の母親と一緒にイタリアへ飛んだ。並盛との別れは済ませたらしく彼女の顔はとても清々しそうだった。美夜は親と顔を合わせたくなかったらしく俺の部屋でランボとゲームをしていた。リボーンなら絶対に合わせると思ったけど無理やり親と合わせる事はしなかった。 望んだエンディングは ひとつだけ。 しばらくして美夜は無駄に誰かと電話している事が多くなってちょっと会話が減り空しい。ご飯を食べに来ることも減ったし学校でもよく電話が掛ってきて席を外している。わざわざ裏庭まで行くなんて怪しすぎだろっ!そおっと後をつけて聞き耳を立ててみるとなんかよくわからない言葉言ってるし… あれってもしかしてイタリア語!?まさかイタリアで大変な事があってめんどくさいって美夜は断ってるけどそれでも必要だから何度も電話を掛けてきてるとか!?あんな真剣な美夜の顔めったにみれないし… 「バレバレだぞおいっ」 「美夜!!」 いつの間にか電話を終えて俺の傍まで来ていた。焦った様子もない、かといって何もないって顔はしてないしな…。 「まさかツナにバレるとはなー」 はぁっとため息をついて俺に背を向ける美夜。え、まさか本当にそうだったりするのか? 「覚悟はできてる。ほら、好きなだけいいんしゃい」 「は?」 何をお前に言うんだよ。何も言うことねぇよ。並盛からいなくなるのかどうか気になってんだよ。他には何もねぇよ! 「…え、もしかして知らない?」 「だから何をだよっ!」 「いや、いいよ。知らないなら」 「よくないから!気になるだろ!」 心底めんどくさそうに携帯で最新のニュース画面を見せてきた。あ、この女の人たちもしかして鹿野かずはさんを殺したかもしれない人達に似てるな。 「…何かめちゃくちゃ怪我してない?」 「不運な事にたまたまこの5人は心霊スポットのトンネルに興味本意で行ったりしたからこうなったんだよ」 「いや、お前だろ。突然トンネルに行ってボロボロで帰ってきていきなり自分が過去に殺人を犯したこと自白するとかおかしいだろ!」 「もしかしたら彼等に宛先不明で心霊スポットの記事が送られて馬鹿な奴等だからのこのこ5人で行ったのかもしれない。そしたら中で何かがあって心を改心したのかもしれないと思うんだよ」 「よーくわかった。そこに正座して詳しく話しを聞かせろ馬鹿」 渋々、芝生に胡座をかいて座り俺を見上げてめんどくさそうに話しだした。雲雀さんから過去の卒業アルバムを見せてもらい名前と年齢を調べてそれをボンゴレで働くお姉さんに伝えて5人の現在の情報をもらうと、結婚もしてないしあの事件を調べている鹿野さんの彼氏さんを今度は殺そうとしているってわかってリボーンと一緒に行動に移ったらしい。 リボーンがその事を9代目に話したらしくそれを聞いた美夜の両親がイタリアに戻ってきて一緒に働こうと何度も電話してきてるようだ。 「俺の予想ちょっとだけあたってた」 「ん?予想?」 「で、どうするんだ?」 「ちょっと電話しに離れただけでもさびしいみたいだしね。ツナが私と一緒に居たいらしいから傍にいてあげますよ」 「なんかムカつくんだけど!まったく嬉しくないよ!」 ハメられた気分だ!「素直じゃないんだから」ってリボーン見たいにニヤっと笑った美夜は俺の手を引いて校舎に入っていく。なんで手を繋がれてんだ? 途中で俺を追い掛けてきた獄寺くんにあって美夜は嫌そうに「あたしかわいそう」って言ってた。多分、ワイシャツを買って返したことに対してなんだろうな。美夜は制服がどうなろうが自分の下着が透けようが気にしないから別にあのままで平気だったんだろう。 「これで全部解決したんだ」 ポケットに入ってた自分の携帯が震える。マナーモードにしてたんだっけ。携帯を開いてメールを見たらメルマガからだった。 横から覗いてきた美夜は自然に笑っていた。 (期待してメールみてメルマガ とかだったらショックだよね) (うっせーな!) (10代目!俺がメール送りますよ!) (いや、いいよ。そーゆう 気づかい。泣きたくなるから) ((ま、宛先不明のこの世に いない人からくるよりいいよ)) |