頬がなんか痛い。だけど眠いしなあ。そう言えばあたし獄寺に頬叩かれたんだよな。よし、目を覚ましたら仕返ししてやろうかなって思ったけどやっぱやめた。獄寺にはいろいろ助けられたしな。ま、あいつが原因でこんなめにあったんだけどね! 「起きろってんだろっ!」 「………うっさっ」 耳元で叫ぶなようっせぇな。また、獄寺かよ!お前はどんだけあたしを起こしたいんだよ!いいか?あたしを何度起こしても君は眠り姫の王子様にはなれないんだ。はん! 「…美夜。獄寺くんが起こしてくれなかったらお前は屋上で一晩過ごすことになってたんだぞ」 「誰か我を運んでやろうとか思う優しい奴はいないのか」 「いいから起きろってば」 ツナのオーラが段々と黒くなってきてたので仕方なく上半身を起こして周りを見るとフェンスがあって上を見ると夜明け前の太陽が出ていない綺麗な空だった。 花ちゃんと京子ちゃんは一番最初に目を覚ました雲雀さんに起こされて自宅に戻るよう言われたらしく2人ともツナ達に「この事は疲れたから休んでまた学校で詳しく話しあおう」って言い残して帰って行ったらしい。そりゃもう下校時刻おもくそ過ぎてるし此処は本当の並盛だから雲雀もちゃんと風紀委員の仕事してるのか。 「何で京子ちゃん達は起こされて帰宅指示なのにあたしは起こされてないんだ?」 「お前は女だとしても女として見られてねぇんだよ」 「獄寺は優しいのか冷たいのかわからんね」 「あれをツンデレって言うんだよ」 「十代目ぇ!ツンデレじゃないです!」 ツナと獄寺の会話は面白いなあ。そう言えば雲雀がいないから気になって山本に聞くと風紀委員の書類が残っているから応接室に戻ったらしい。どんだけ学校愛してんだよ。あたしだったら家帰ってすぐさま寝るよ。…妙に頭が重いなっ。これ熱あるかもしれないって上を見たらリボーン君が頭に乗っていた。ツナの頭の上じゃないんだ。 「随分怪我してるじゃねーか。相当大変だったらしいな」 「めちゃくちゃ大変だったよ」 医者のコスプレをしたリボーン君。あたしの腕に消毒液をぶっかけてきたよ!ちゃんと治療しようぜ! 「ツナと山本は軽傷で雲雀と獄寺は結構怪我してたな」 「雲雀…どっか怪我してたっけ?」 「背中に何か激突したらしく赤くなってたぞ」 「お気の毒に…」 「「お前がやったんだろうが!」」 獄寺とツナが同時にツっ込んできた。なんだよ2人で楽しそうに話してたじゃないか。獄寺はなんか焦ってたけど。山本は笑ってるし傷はしみるわでなんかもほんとに疲れて眠たいよ。ツナが何か思い出したようにあたりを見回し始めたからどうしたんだと聞くと浅黄と一緒に屋上ダイブしたって言うじゃないか。浅黄どこだよ、可愛い浅黄はどこなんだあああ! リボーン君の手当てが終わったから探しに行こうと屋上のドアに手をかけたら勝手に開いた。え、こーゆう展開ってまだ終わってない見たいな?バアって変なの出ちゃう感じ?次に手当てされてる獄寺からの視線が背中に当たって痛い。閉めろって言ってんの?だけどこれ閉めたとして開けたのが雲雀だったら咬み殺されるのあたしやん。そしたらめんどくさいわあ。 「生きてた」 出てきたのはお化けじゃなくて浅黄だった。接近してもうてるよ!めちゃ可愛いって!顔小さいし声とか高いし女の子だ。女の中の女だっ 「そいつが5年前、行方不明になった少女か?」 厳密に言えばもう19歳だけどな。あの世界の容子は14歳の中学生の姿だったけどこっちきたら身長もあたしより高いし髪もお腹くらいのウエーブになってる。それ以上に髪が伸びてないのは向こうの世界のハサミで髪の毛切ってたからなのかな?いや、聞いたらこのしょんぼりした空気壊しそうだし心の中に秘めとこう。 「私は屋上から飛び降りた筈なのに…」 取り合えず浅黄と一緒にリボーン君の傍に寄った。浅黄はリボーン君にこれまでの事を話してしゃがみこんだ。赤ん坊にあーゆうドメステイックな話しを聞かせるってどうよ?やっぱりありえない事が起きると目の前にいるありえない存在を認めるのかな。 …―チャキっ 「ありえない存在ってなんだ」 「違います。そんな事思ってないです。ありえてるって思ったのにちょっと間違ったんです」 「俺が今からお前をありえない存在にしてやるぞ」 「いや、それやられちったらありえない存在どころかほんとにありえなくなっちゃうからね」 「こんなチャーミングな赤ん坊が存在していて嬉しいだろ?」 「すんげえ嬉しいー。抱きしめたいなー」 二ヤっと満足したリボーン君は愛銃を懐にしまって「今度な」って嫌な笑みを向けてきた。読心術ってやだね。 「きっと地面にぶつかる前にあの生と死の狭間の空間に鹿野かずはが入ったまま飛んだから生きてるんじゃねぇのか?お前の怪我は全部鹿野かずはが引き受けたなら無傷なのにも納得がいくしな」 あたしと山本があれだけ理解するのに時間かかったのにリボーン君はあの短い説明で此処まで分かっちゃうんだもん頭がいいっていいよね。私だって頭いいんだよ。糞じじぃがお姉ちゃんを無理やりイタリアに連れていった時から8歳になるまで糞ばばぁに無駄に色んな事詰め込まれたし。訓練だといいながら包丁向けられるし。DVだったよあれは。まあ、そのお陰で生きて帰ってこられたんだけどね。「いつか使うから」って言った糞ばばぁの言葉がほんとになるとは… 糞の両親は今頃イタリアでうはうはしてんのかな。 「あのかっこいい人、荻野くんは一体誰だったの?」 「彼は私の大切な人です。私がどんなにひどい事をされても許せたのは彼の御蔭なんです。両親も死んで荻野君は私の名前を呼んでくれるたった1人の人でした。荻野君は病気で入院ばかりでしたがその間にも私に不安な事や辛いことがあるとすぐに気づいてくれてメールや電話をくれました。不思議と荻野君と一緒にいると皆何もしてきませんでした。それはきっと彼が鹿野さんの彼氏さん同様に私を守ってくれていたからなんだと思います」 美少年の事を語る浅黄は凄く幸せそうだった。きっと彼と居る時間が浅黄にとって辛いことや悲しい事を忘れられる時だったんだろうな。 「だけど彼の病気は悪くなるばかりで私に何も告げず死んでしまった。彼は死ぬ前の一週間前から会ってくれなくなりました。私はその意味が分からなくてそれでもメールが毎日届くから安心していたんです。『幸せになってくれ』って書いてあったメールを最後に届かなくなって病院に行くと彼の病室は蛻の殻。お通夜もお葬式も出れなくて私は結局お墓参りに行くことしかできなかった。荻野君は両親に自分の死を告げないでほしいとお願いしたらしいです」 ポタポタと浅黄の眼から涙があふれ出した。沢山泣いても涙は枯れないんだよね。 「何であってくれなかったのかってやっと幽霊になった彼に会って聞いたら病気で声が出なくなってたんです。それなのに、私は何も知らないでっ!!」 悔しくてしょうがないんだろうな。やっと会えたのにまた別れて、真実を聞かされて… 浅黄と同じようにしゃがんで頭を撫でてやる。彼女は泣いて拳を強く握りしめていた。ねえ、最強のヒットマンさんは彼女の気持ちが読める?読めないだろうね。リボーン君はいつも置いてく側の人間だもんね。 「浅黄っ」 名前を呼んだら浅黄は抱きついてあたしの胸の中で一杯泣いた。胸小さくてごめんね。あたしも浅黄の背中に手を回して浅黄の頭を撫でた。昔こうやって哀しい時誰かに慰めてもらった気がするな。 「私は気づけなかったんですっ…!謝っても謝りきれない。好きなのに、好きで、荻野君がいればよかったのに。一緒に連れて行って欲しかった!傍にいたかったよ。うわあああああああっ!」 子供のように一杯泣いて、泣いて、彼に届くように叫んでやれ。置いて行った彼に一杯文句言ってやれ。そんで沢山謝ろう。 「うっ…あぁっ、私が頼りなかったから何も言えなかったんだよね。ごめんね、私強くなるからねっ、幸せになって荻野君を安心させるからっ、そしたら、そしたらまた好きだって一杯言うねっ…」 一杯泣いた浅黄は疲れて私の胸の中で眠ってしまった。うん。ゆっくり寝な。 オオカミ少年の懺悔 浅黄さんの話を聞いて彼女は寝てしまい取り合えず皆疲れているから一回帰宅して休んでからまた話しあおうって事になった。休むって提案を出したのはリボーンのはずなのに俺と美夜は休めてないんだけど。浅黄さんをおんぶして美夜の家の元は姉のだったらしい部屋に寝かせて隣の家の自宅の自室で寝るはずだったんだ。なのに、自分の部屋に行こうとした美夜の事をずるずるひっぱって俺の家に来させて今は俺の部屋でまたもや机を囲んでの話し合いだ。ほら、美夜なんか人の家なのにねっ転がって寝ようとしてるぞ!後ででいいじゃん話し合いとかさ!だからこいつを家に戻してこい! 「浅黄の事は美夜の親にまかせようと思う」 「え!?こいつの親に!?」 「げっ」 確かに浅黄さんはこっちの世界では行方不明になって5年経ってるから死亡になってるだろうしそれに傷害事件の件で捕まるかもしれない。だったら外国で静かに暮した方がいいのかもな。 「美夜の親って確かボンゴレで働いてるんだろ?」 「最近、姉も任務に出始めたぞ」 「じゃあ、美夜もイタリアに行ったりするのか!?」 とうの本人は欠伸かいてるし… 焦ってる俺馬鹿みたいじゃんか。少しは心配しろよ! 「こいつからなんも聞いてないのか?」 「聞いてないよ!どうせ聞かなかったからって言うんだろ」 「あったりー」 どんだけめんどくさがりなんだよお前は。 「ツナの護衛で美夜は日本に残ってんだ。だから美夜がイタリアに行く時はツナが行く時なんだぞ」 「…それってこいつが置いてかれたのはほとんど俺の所為ってことじゃん!ずっと父さんが美夜の両親にイタリアに戻って来いって命令したのかと思ってたよ!」 「そうなるな。ちなみに家光は戻って来いなんて言ってねぇ。勝手に育児休暇に飽きたあいつらがイタリアに飛んでっただけだ」 そりゃ、こんな子供が育つわけだよ。人の部屋の床で熟睡している美夜に掛け布団を掛けてやる。 もう少しこいつに優しくしてやろ。 「じゃあ、美夜の両親にまかせるで決まりだな」 「結局はボンゴレで解決ってことじゃないの?」 「あいつらは基本自由なんだよ。金と理由によっては誰からの任務もこなすがボンゴレの任務を優先する見たいだぞ。だけど俺はあいつらが他の仕事を受け入れたとこ見たことねぇな」 「とことん自由なんだ…」 「任務相手が9代目見たいな奴だったら了承しているから、一応人を見る目はあんだ」 そんなのこいつを見ればわかるよ。娘を置いてくってのはどうかと思うけどリボーンがそこまで言うなら美夜の両親を信じて任せるよ。 |