「美術室での音はこれだったのね」 「凄いこってる…」 「こりすぎだよーっ!」 ほんと沢田がうるさくてイライラする。 おまけに私のこと勇ましい女とか思っちゃってるし… あんたがなにもしないから私がやってるんでしょ!だけど流石に自分でも女としてどうかと思ってきた… 美夜ー。あんたに会って私がまだましだって実感したいわ。 廊下に赤い絵の具が血のようにばらまかれていた。3年の教室の方から獄寺の怒鳴り声が聞こえたからそっちに向かおうとした矢先にこれだ。 ガキの悪戯みたい。くだらない。 「もしかして此所通って行く気だったりする?」 「当たり前でしょ。今更遠回りなんかしてたら時間がかかって合流なんか一生できなくなるわよ。あんたダメツナはいい加減卒業しなさい」 「…ごもっとも」 卒業しろって言ったのに凹んで京子に慰められてる。これじゃあ当分卒業できそうにないわね。 ―ビチャッ 赤い血だまりの様な所に一歩踏み出す。感触わるっ!生暖かいのが上履きを履いてても分かってドロドロとしていた。早くこの場を抜けよう。 ―ビチャッグチャっ 一歩一歩踏み出すごとに変な音がして気味が悪い。早歩きですたすたと歩いてき、中央まで来ると足が動かなくなった。 「え!?なに!?」 後ろに振り返り2人を見るとびっくりした様子で私の名前を呼び焦っている。京子はまだ足を踏み入れていない。沢田は4歩、歩いたくらいにいた。 たすけて、と言おうとしたら赤い液体が心拍の様に脈打ちはじめドクンドクンと足の裏を通して全身に伝わってきてやばいと思い足を動かそうとするが床と合体してしまった見たいに動かない。 「花!どうしたの!?」 「足が動かないのよっ!それに…「うわあ!血になってる!」ダメツナうるさいっ!」 だけど沢田の言ったとおり廊下全体に生臭い臭いがただよっていて気持ち悪くなってきた。 なんなのよこれ!だって絵の具だったじゃない!赤い絵の具ってほんとは血で出来てるの?そうなの?グロすぎでしょ!販売されたらおそろしいわ! ―ズルっ 「いやっ」 まるで下から誰かに引っ張られるように沈んで行く。すでに膝小僧まで沈んでしまっていて足でもがく事も逃げることもできなくなっていた。沢田はこっちに向かおうと手を伸ばしたりしているが同じように動けないらしく半泣きしている。京子は沢田に「くるなっ!」と叫ばれ泣きながら私の名前を呼んで棒の様なものはないかあたりを見渡しうろちょろしていて、もうダメな気がした。 ―ズルヌチャズルズルッ 「いやああああああああっ!」 一気に下に引っ張られ赤い血が顔に近づいてくる。この下には誰がいるんだろうか?大人のイケメンだったら許す!違かったらこの下でまず引きずりこんだやつをボコって年上イケメンがくるのを待とう。 「はな―――――っ!」 ぐちゃああああって何かが私に向かって抱きついてきてその制で血が顔についてほんとに臭い。唯一自由な手で顔についた血を拭いて眼をあけるとあの無愛想な顔があった。 「美夜!と、獄寺達が何で此処に!?」 「まあ、そんなのは置いといて此処からでますか」 私を抱えている方とは反対側の手に箒が握られていてその棒の方を底めがけて突き刺した。 『ぎゃぁあああああああっ!』 おじさんの様な濁った叫び声が聞こえるとそこは普通の廊下に戻っていて美夜が持ってきた放棄も血糊も消えていた。床に座り込んで抱き合っている私達のもとに泣きべその沢田と京子が急いで近づいてきて「無事でよかったあああ」と泣き付かれた。 「それにしても美夜。あんたスライディングして飛び込んできたからワイシャツ汚れちゃってるわよ?」 「別にいいよ。獄寺のだし」 「果すぞ!」 なんで美夜が獄寺のワイシャツ着てるのよ。沢田もめっちゃ獄寺達睨んでるじゃない。てか、その勢いを私の救出に使えよダメツナ! 「それにこの赤い汚れさっき箒でお化け刺した時の反り血だからスライディングの制じゃないよ」 「余計に嫌だわ!そのワイシャツ返さなくていいからな」 「いいよ。ちゃんと返すよレアだよ」 「ならそれをやるから新しいのを買って返せ」 「何でも金で解決しようとするのは悪い事だ」 「借りた物を綺麗にして返すのは当たり前の事だろうがっ!」 私が思ったようなやらしい関係にはなってないようね。そうなってたら山本がうるさいはずだもの。 そうそう、なんで4人が私達の居場所に気づけたのかは此処の廊下の上の階、つまりは3年の教室あたりに居て近いのもあり料理に口うるさい美夜は鼻がいいから血生臭いにおいを嗅ぎつけ、沢田と京子の私を呼ぶ声もあっていいタイミングで助けにこられたらしい。 胎 内 に キ ス し て 皆と合流できてよかった。俺はお化けに傷つけられるより黒川が「ダメツナ」って言う度に心に大きな傷を追ってたよ。それを抜くと皆元気そうでほんとによかった。美夜が獄寺君のワイシャツを着ている理由も山本から聞いてなんとなく分かったし今は安心してる。 「十代目!ご無事で何よりです!」 「うん(精神的にズタボロだけどな)。」 ―…みーどーりかがやくー 並中の校歌が流れ皆は携帯電話に反応するも雲雀さんのだと分かると警戒を解いた。そう言えばあの携帯を持ってるのって誰なんだろう?ま、あの携帯の事は忘れよう。 「誰と電話してんだろ?」 「雲雀に電話かける奴は大抵決まってるよ」 それを何で美夜が知ってるんだよ。どんだけ弱味握りたかったんだお前!何が「草壁かリボーン君だな」だ。かっこつけて言われてもまったくかっこよくないからな!逆に恥ずかしい事してるって気づけ!! |