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:- 愛に貪欲な子供




俺は絶対、美術室の前を通るのは駄目だと思ったんだ。超直感とか抜いてもあそこはなんかあるだろ!だって、七不思議通りのことが起きてるんだよ?絶対なんかあるじゃん!俺が絶対って言ったら絶対あたるんだってば。はい!これから俺の命令は絶対ってこどで、なんてそんなことありません。すいません。ちょっと頭テンパって偉そうなこといいましたがなんにもできない男なんです。

「はぁ」

「どうしたのツナ君?」

「え、あ、いや!なんでもないよ!」

「今度はなによ」

黒川さんの視線が怖くて空気の重さに溜め息ついてしまいました。すいません。俺、今日で何回黒川に謝ったかな。美夜もきっとこんな気持ちだったんだろうな…
いや、あいつは反省しないタイプだから俺の気持ちなんて分かんないだろう。

―ぐちゃくちゃくちゃっ

美術室の近くまで来るとドアの空いた美術室から何かべたべたしたものを混ぜる音が聞こえた。それから俺達がとった行動は、寧ろ黒川がとった行動はそんな音気にせずどうどうと美術室に入っていった。
その後を早歩きでついていく俺ってほんとダサいよね。今更なんだけどね。

愛に貪欲な子供


教室に入ると音はしなくなって3つの垂直な足をもったイーゼルが他の机をどかしてどーんっと教室の真ん中に置いてあった。イーゼルには少し大きめのキャンバスが立てかけられていた。そう言えばイーゼルって俺は美夜に教えてもらったんだよなあ。それを知るまでキャンバスを立てる道具として覚えてて、説明するあいつを見て初めて獄寺くんには及ばないけど同じ育ちなんだって思ったんだ。両親がマフィアで日本に置いてかれて表社会で生きるってやっぱ美夜は顔に出さないけど今でも辛いのかな?

「この絵って私達よね?」

「すごい!上手だね!」

「え、京子ちゃんそこなの!?」

感心して絵を見る京子ちゃんと不快感を持って絵を見る黒川と俺。全体的に色遣いが暗いからホラーの絵にみえる!その絵には遠近法が使われていて後ろから山本と京子ちゃん、雲雀さん、次に黒川、獄寺君、俺、そして一番前に何故か幼い時の美夜が描かれていた。

「何よこの顔ムカつくはね」

「花の哀しそうな時の顔にそっくりだよ?」

「それが嫌なのよ」

「そうなの?あ、ツナ君これって美夜ちゃん?」

「うん。これは幼い時の美夜だよ」

レースのついた襟にお人形さんみたいなワンピースを着た美夜は俺に向かって「死んじゃえばいいのに」っていた時そのものだ。それよりこれを描いた奴は美夜のファンなのか?かわいそうな人だなあ。今ならまだ間に合うから京子ちゃんにした方がいいよ?それも困るな…。俺的に黒川さんが現代では見られない凛々しい女性でいいと思います。

「美夜は小さい時から無愛想な顔してたんだー」

「あいつ、前は凄く笑うやつだったんだ!今はただ寂しいのを我慢しようと必死なんだと思う…」

「沢田にしてはいい事言うじゃない」

黒川に優しい笑みを向けられ汗った。滅多に褒めない人にそう言われるとなんか照れるな。感動してたら黒川がどっから持ってきたのかわからないけどその絵にカッターをつきさしてボロボロにした。京子ちゃんも何故か手伝ってゴミ箱の中に入れている。え?俺だけ仲間外れ?何してるのーっ!?

「人には見られたくない顔があるのよ」

「哀しい顔より笑顔を描いてほしいもんね!」

黒川と京子ちゃんの言ってることが違うんだけど。そろえてこいよっ!それにしても絵をボロボロにしちゃったのに何も起こらないな…怒ってないのかな?
起きる前に退散しようって事で美術室を後にした。美術室の七不思議ってなんだっけ?あとで山本達に合流したら聞いてみよう。
その時、俺達が気づけばよかったんだ。絵の具をまぜるような音はなんだったのか、どうして俺達が美術室に入ったら音が聞こえなくなったのか、気づけたらこれから起きることを防げたかもしれないのに…





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