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:+ 生々しい熱帯夜



人体模型だった残骸をできるだけ元の形に戻るよう3人で知恵を絞り努力はしたがどんな構造で臓器の部品が細かすぎでどこに嵌めればいいのか分からなく歪に人間の形だけは取り戻した。やっぱり、動く事はなく人体模型はもとの人形になっていた。外が見えるように窓側の席に立たせて一息つく。

「まぁ、形は取り戻したからいいんじゃない?」

「目玉も取れてる」

京子ちゃんは床に落ちてる目玉を拾い申し訳なさそうな顔で人体模型につけた。

「それにしても美夜は色々と私達に黙ってる事がありそうね」

「美夜ちゃんきっと私達が怖がると思って言えなかったんだよ」

「あいつ自分の事も聞かれないと話さないからな…」

怒る黒川をまぁまぁと落ち着かせる京子ちゃん。
いいコンビだよ2人とも。
それにしても美夜は喋らなすぎだ。美夜の家族の事を知ったのもリボーンに言われてだし、何が好きとか嫌いも言わない。理由は聞かれなかったからと単純なものだし…
あ、でも獄寺君は結構美夜の事知ってるけど、あれって弱味を握ろうといった感じで知ったのかな?今度聞いてみよ。

…―ピキッ

なんだこのガラスの割れる音は…
窓ガラスを見るが別に日々の入った様子はない。ピキピキッと沢山のガラスに響が入る音がしたので辺りを見回し割れそうなものを探す。

―…どっくん

一瞬自分の心臓の音かと思った。京子ちゃんと花も目を合わせて子首を傾げる。今度は沢山の鼓動が鳴りはじめてやっと俺達は異変が起きたものに気づいた。

「そういえば理科室には気味悪いのがもう一つあったわね」

「人体模型は気味悪いのに入れたら駄目だよ、花」

「と、取り敢えず教室から出ようか」

黒川が頷いて一歩踏み出すのと同時にホルマリン付けの動物や臓器が入っているビンが爆発したかの様に割れた。

一気に血の気が引いて理科室を飛び出した。飛び散った液体と動いている臓器の脈打つ音が頭の中に入り込んで来て気持ちが悪くて吐きそうになった。

廊下に出て急いでドアを閉めて震える手を落ち着かせようと深呼吸する。聞いた事のない黒川の短い悲鳴が俺を焦らせ急いで後ろに振り返る。

「無理無理無理っ!気持ち悪っ!グロテスクっ!」

「は、花!落ち着いて!」
「餓鬼より、無理!」

青ざめてランボが傍に寄った時よりもじんましんが凄いでてる。2人の間から覗いて見ると…蛙だ。もしかして黒川は爬虫類が苦手なのか!?

「蛙だよね」

「よく見なさいよ駄目ツナ!」

頭を鷲津噛まれ前に押し出されあまりの突然の行動だったので「ぐえっ!」とリボーンに蹴られた時のような言葉がでた。女の子がやる事かよ!美夜と共に京子ちゃんの女の子らしさを見習え!
結構、力強くて足を崩して倒れこんでしまった。顔を上げれば…か、エルが間近に居て目が合う。

「うっ…」

とっさに吐きそうになったので口を押さえて急いで立ち上がりもせず後ろに下がった。
黒川は悪気があったのかは知らいが俺のワイシャツの首根っこを引っ張って走りだす。首絞まる!
蛙はお腹を綺麗に切り裂かれていて心臓やら内臓がボタボタっと落ちてきていた。解剖された蛙だったのか…
それが目をキョロキョロ動かしてゲコッて鳴いたんだ、黒川でも悲鳴を上げるのはあたりまえか。

「沢田…あんたが考えてることまるわかりよ」

「え!?」

理科室から少し離れた所でいきなり掴んでいたシャツを離されて廊下に頭をおもいっきりぶつけた。

「いってぇ――っ!」

「ふんっ」

「どうしたの花?ツナ君も大丈夫?」

「う、うん」

この濁りのない純粋さが欲しいんだよ!黒川ってもう大人なイメージじゃん!黒で濁ってそうだよ!涙目でそう思ったがなんだか負け犬の遠吠え見たいなのでやめた。あぁ、リボーンと居るみたいだ…


々しい


胸騒ぎがした。放送室から出てまた走り出したのはいいが行く当てもなく何も起こらないので歩き始めた。夜の学校は何度入っても気味が悪いけどいい暇つぶしなんだよな。家に居てもつまらないし。

「美夜は何度か夜の学校に来てんだろ?」

「うん。今度山本も誘おっか?」

「いや、遠慮しとくぜ」

「残念、無念、また来週誘う」

苦笑いをした山本は「怖くないのか?」と聞いてきた。ちなみに獄寺は煙草を吸って喋らない。お前がガンになろうがどーでもいいけどあたし達が副流煙でガンになったらどーすんだよ!て、のは置いといて怖いってば。怖いに決まってんでしょ。

「怖いよ、怖い。夜1人で寝れない位に怖い」

「なんかあんま怖いって伝わんねーのな」

「どーすればこの怖さが伝わるかな?いっそ叫ぶべきか、抱きついて泣くべきかな?」

「後半の方が女の子らしいからいいんじゃね?」

「じゃ、今度からそーするね。逃げんなよ。受け止めろよ」

「どんだけ力強く抱きついてくんだよ!」

山本はあたしの抱きつきを知らないから笑ってられるんだ!アタックだかんね!強がり言ったものの私はまともに抱きついたことがない。はい。ないんだよ。
ぶっちゃけ抱きしめられたこともないよ。
あたしにとったら夜の学校だって家に居るのと同じだ。どーせは1人なんだし、暇潰しに七不思議にチャレンジしただけだ。流石に怖くて実行するのを止めようとしたら人体模型にあった。あれはビックリした。心臓止まるかと思ったけど何か人体模型の方があたしを見て眼を見開いて驚くので先越された。ほら、泣こうとしたけど先に泣かれて涙引いちまったよ、て感じ。
雲雀が応接室で仕事してるのを知っていたから人体模型にちゃんと忠告してあげた。それから、夜中の学校に何度か忍び込むと時折会うので少し喋ったりもしたっけな。あいつ何気話おもしろいんだよ、獄寺の弱味を握りたいんだ!って話したら理科室での授業中に獄寺を観察してくれてたらしくガスバーナーがつけられない事を知ることができた。良い奴だよあいつは。その前に人体模型と普通に話してる自分がすげぇよな。誰でもいいから話し相手がほしかったんだろう。言うのは恥ずかしいから絶対言わないけど寂しかったのかもしれない。夜の学校に行こうと思ったのは暇つぶしでもあったけど雲雀が居る事を知っていたから。学校に居れば1人じゃないと思えたんだ。




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