美少年は怒り狂って今だ窓を叩いている青年を見据えている。そんな美少年を私は見つめる。 山本とか?ドアに背を向け逃げる準備してるよ。 眼でこっちにこいと訴える彼等が情けないよ、まったく。 そして、青年はドアを叩きながら叫んだのだ。 『どうして邪魔をするんだ!!』 いくら幽霊だからと言って窓を本気で叩いていれば痛いだろうに…実際彼のこぶしは赤くなって皮が剥れてしまっている。痛々しくてそこは見ないようにした。 怒鳴られた美少年は返事を返すことなくあたしの肩を掴んで山本達の方に押した。 その際に隣の部屋の光景をチラッと見たら酷いものだった。電源がオフにされて音が鳴らないマイクは壊されていて、机も椅子も原形をとどめてはいなかった。 あぁ、このために美少年君は私たちに電源を消させ、コンセントを抜かせたのか。 美少年はまた口パクで何かを伝えようとしている。 さっきは分からなかったけど今度はしっかり分かった。…外れていたらその時は、そん時だよ。 ≪はやくここからでるんだ≫ ≪あさぎをたすけてあげて≫ 美少年は伝わった事がわかるとまたもや、綺麗に微笑んで手を振った。あたしも珍しく微笑んで手を振り返す。「ありがとう」そう言うと彼は首を横に振って「それはこっちの台詞」とまたもや口パクだったけどそう言った気がした。 ―バタンっ 放送室から出るとすぐさま2人はドアを閉めた。 行くあてもないがまた走りだす。ほんとさぁ、やっとゆっくりできるとおもったのになぁ 美少年の言葉が忘れられない… 虚 空 に 消 え た 想 い いい加減イラついて来た。子供以上に嫌いなもの見つけちゃった。嫌いて言うのは怖いて意味じゃないから。 「ツナ君大丈夫?」 「え、あ、うん!」 「あんたにしては良くやったわね」 あの鼠娘をどうにかして沢田は私たちに追いついて来た。その表情と言ったら見れたもんじゃなかったけど見るしかなかったので仕方なく褒めておいた。 携帯を握りしめて走って来たって事は美夜にでも電話したのかしろ? あくまで予想だけど、それはそれで大変だったでしょうね。 「あの女の子追いかけてきちゃうかな?」 京子は本当に女の子だと思う。沢田が携帯を握りしめた事を見るともう、アレは追いかけてくることはないで受け取っていいのかしら… ふわふわ思考もいいけどたまにはゾンビ的な映画を見せた方がいいのかもしれないわね 大体京子が見るのっていい話だし。 うん。この子にはちょっと汚れた世界を見せた方がいい。 じゃないと今のように重苦しい空気になりかねない時も来るだろう。 「たぶん、もう追いかけて来ることはないよ」 意外だった。沢田はもっとへこんだ顔で京子に告げるかと思ったが安心させるように笑ったから。 まぁ、私はこいつのこーゆう所があるから京子を好きなのを反対しないんだと思う。 「…それにしても理科室に駆け込んだのはいい選択だとは思えないわよね」 「…り、理科室!?」 驚いた顔をした沢田に周りを見ればわかるでしょ。と言えばほんとうに首を回して見回すもんだから思わず笑ってしまった。京子はそれを見て安心するような笑みを私に向けるから取り合えず額にデコピンをして顔をそらさせた。 なんか京子に見つめられると照れるのよね。変な意味ではなくて…なんか自分が凄く最低な人間のように思える見たいに… 「外、真っ暗だね」 「今何時なんだろう?」 「あんた携帯持ってんでしょ」 今何時なんだろう?て美夜並に馬鹿よ。 その手に握っている携帯は電話しかできないわけなの? 京子は窓越しに歩いて行ってしまうし…とりあえず沢田は置いといて京子の方に歩み寄る。 窓までついて沢田の方に振り返ると困った顔で「充電切れた…」とぼそっと呟いていたのでほんとあきれる。一体何にそんな充電使ったのよ… 私の携帯は、そう言えばどこ?あぁ、下駄箱に鞄置いて来たんだっけ。携帯だけでも持ってくればよかったなー て、今の現状は携帯の制なんだから似たようなもんを持ちたくなかったてのが本心なんだけども。 「花、時計…」 京子が指差した方向を見ると全教室についている時計があった。針はちゃんと動いているけど間違っているて可能性もあるし、信じていいのだろうか? それに外は真っ暗なのに時刻が5時40分て完璧ズレてるでしょ… |