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:p 白く濁る水に水葬




放送室て防音なんだよね。だから例え今獄寺とあたしが大声で怒鳴り合っていたとしても室内に居る山本に被害があるだけで外には聞こえないんだ

「そ、そう言えばよ!」

「「あ゛?」」

とうとう取っ組み合いにまでなってしまったので山本が止めに入ってきたが不機嫌なあたし達に話しかけるべきではない。
だがしかし、苛立ちを山本に向けるような返事をしたら逆に「だからよ、」とトーンを落とした山本さんが黒いオーラを出して真顔でいたので反省した。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

山本の真顔怖ぇえぇえ!!やっぱ今まで笑顔で天然のような人が怒ると怖いんだね!見くびっちゃ駄目なんだよ。うん。

「七不思議の中に午後5時55分になるチャイムと放送を聞くと6時には死んじまうてやつなかったけ?」

「…それ今言うんかい!」

「つーか、さっき外真っ暗だっただろーが」

シーンとまた静まり返る。まさかね、そのまさかとかありえないから。大体あたし雲雀と七不思議巡りしたけど全部嘘だったよ。なんも起こんなかったから。そうそう、所詮そんなの人が作った作り話。

―キーンコーンカ―ンコーン

誰だよ作り話とかで言いくるめようとしやがったのは!全然ちがうじゃん!何か鐘なっちゃったじゃん。
偶然?偶然じゃないの?

『これから、放課後の校内放送を―…ぶちっ

放送は突然止まった。いつの間にか隣の取調室の様な部屋に並中のブレザーを着た青年が椅子に座ってマイクに話しかけていた。何故、放送が突然止まったのか、それは獄寺がマイクの電源をOFFにしたからである。続いて山本が隣の部屋に繋がるコードを全て抜いていた。2人とも冷や汗が流れていて尋常じゃない顔であった。ここであたしが写メっていい?なんて聞いたら多分隣の部屋に閉じ込められるだろう。

「はぁ、はぁ、あれは放送聞いたって事にはなんねーよな?」

「ならねぇ事を祈る」

なんだ、結局君たち仲良しなんじゃないか。
あたし1人取り残されてる気分だよ今。青年はマイクを見たまま黙っている。いや、こちらを向かれてもどうしようもないんだけどさ。
しかし、今は夜のはずなんだけどなぁ。
何で放送が始まる?新しい七不思議?寧ろ不思議じゃなくて怪談?
そこでようやくスカートのポケットに入っている自分のじゃない携帯が鳴っている事に気づいた。


貴方を水葬


ポケットから取り出すと同時に着信は切れてしまったが画面に表示された時刻を見れば驚きだ。

「5時53分…」

「はぁ!?」

獄寺動揺しすぎじゃね?あたしにキレられても困るんだけど!携帯の画面を見せれば2人ともそーゆう事かと納得していた。やっぱり驚きだよね。
なんだーそっちの時計かー、じゃなくてやべぇじゃん!53分?どうして53分なんだよ。
七不思議ズレてんじゃん!

―コッコッ

携帯と3人で睨めっこしていたら突然、隣の部屋に居た青年が窓をノックしていた。
いけるよ。今この無駄に大きな窓を壊せば確実にこの青年はある意味で消えてくれてあたし達は死ななくてすむんじゃないかとか考えたんだけど穏健に事を済まそう…てか、それしちゃったら最低じゃん?

取調室の窓、なんてゆーんだろ?この無駄にでかい窓なんてゆーの?とりあえず私達のいる部屋で音の大きさや機会を動かして隣の部屋で放送する、並盛て改めてすげぇ。ラジオ放送的じゃん。

―コッコン

え?何?青年はマイクの不調をあたし達に教えようとしてるの?駄目駄目駄目!お願いされたって流石に電源入れるわけにはいかないよ!

青年と目が合うと彼は口パクで何かを話している。あ、綺麗な顔だなぁ。幽霊とか勿体ない。本心で

「ほんっと、馬鹿だ」

あれ?あたしは心の中でそう思ったはずなのに獄寺に何でバレてんだ?おっかしーなぁ
こいつ読心術持ってたっけ?

「美夜は時折顔に出やすいのな」

「あらら、山本君も気づいちゃった?」

「気づく、つーか、男の俺でも綺麗な顔だなぁて思ったから?」

「でしょ。やっぱり皆思うんだよ」

「俺は思ってねぇよ!」

口をパクパク動かしていた青年はなぜか一瞬驚いた顔をして穏やかに微笑んだ。まるでこっちの話が聞こえていた見たいに。
防音…じゃなかったけ?
青年の微笑みがあまりにも綺麗で見とれてしまった。
あぁ、ちょっと、ちょっと今時間何時?54分。
このままいけば大丈夫。こっちは安心だが向こうは慌てるんじゃないのかな?遠慮がちに見ると、青年は頭にハテナマークを浮かべる様に首をかしげた。
まるで「何が不安なの?」と尋ねる様に…

そしてまた、チャイムがなった。

青年はいつのまにかあたし達の傍に来てあたしの持っている携帯を見て哀しそうな顔をする。
どうやって此処まで来たのか、まぁ、それはある程度馴れたから分かった。彼等にドアなど無意味なんだよね、すり抜けられるから。
何故かあたし達3人はその青年を警戒することはなくすんなりと受け入れた。いや、それはあたしだけなのかもしれない。だって獄寺達一歩下がったし。彼からは敵意を感じられないからなぁ。怖がる必要などないと思う。

―ドン!ドンドンドンっ!!

今度は大きな音で窓が叩かれた。青年からそちらに目線をズラすと青年とは違う学ランを着て怒り狂ったように窓をたたくまたもや青年が居た。
あれ、あれだよ。あれが敵意をだした奴だよ。
綺麗な顔の青年の方に目をやると澄んだ眼で彼は敵に目を向けている。
その際にブレザーについているネームが見えた。『荻野』…え、なんて読むんだろ?
名前、を見ようとすると彼は怒った青年の方に体を向けてしまって見えなくなってしまった。
あ、なんかこの立ち位置守られてるみたい。ちょっと照れちゃうなぁ

後で漢字の読みを獄寺から聞こう。今は美少年と彼の事を呼ぼうか。うん。ぴったり!




あきゅろす。
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