足音の正体は雲雀だった。
立ち止まって私たちを見た彼は眼を見開いていた。そんで顰め面になって頭の整理をしているようだ。
ちなみに、私が獄寺を押し倒したような感じになっている。めんどくさいな説明するの…
―ヒュンッ
「うわっ」「げっ」
説明するよりも先にトンファーが降りかかってきた。
とっさに獄寺から離れる、獄寺はたぶんトンファーの餌食になったな。と思ったがギリギリ避けていた。
気のせいか、かなり睨まれてる気がする。
死
に
た
が
り
の
理
想
こらこら、目的を忘れたらあかんよ?私達はお化けに追われて並中まで逃げて来たんだ。そんで窓が開いていた家庭科室に入れておまけに最強最低の雲雀君に会えたのだから喜ばないと。
「…風紀を乱した罰として君たちを咬み殺す」
「な、なに言ってんだ!」
何言ってんだこの人。何顔赤くしてんだ獄寺。そんで殺気が痛いよ雲雀君。
「変な勘違いはやめるんだ。断じて違う」
「ふざけんなっ!誰がこんな奴と!!」
じゃあ、さっきのは何さ。て…雲雀よ、君はあれだねツナと同じく冗談が通じんのだね。
「あれだよ。雲雀が考えてる事をしようとしたのだよ」
「ば、ばか!ちげーだろ!」
「覚悟はいいかい?」
これもう殺される感じですかい?私なんかいけない事いったのかい?言ってないだろー。風紀委員の雲雀だぜ?そんな如何わしい事考えせんだろ、と思った私が浅はかだったか…
今日で何回獄寺に馬鹿て言われたことか、結構傷ついているんだよ?段々自分は本当に馬鹿なんだて認めてきちゃってるよ?
「最低」
「?何で僕が君に言われないとならないんだ」
「どっちかっつーとお前が最低だろ」
獄寺よ、あんさんは本当に嫌いだ。グサグサと…いくら心の広い私でも本当にキレるぞえ?邪魔扱いの次は最低扱いかい?取り合えず傍に寄るんじゃねー!
雲雀達とは反対方向、窓側に一歩ずつ下がる。
「おい!おめー何考えてんだっ!危ねーから離れんな!」
「男は皆狼さ…やらしいー」
「何あの子?馬鹿なの?馬鹿だよ君」
凄く哀しくなってきた。馬鹿連発?そりゃねーよ委員長さん。だってよくよく考えてみなさい。こんな暗闇に男2人に女1人よ?年頃なのよ、おまけに変な想像しちゃうのよ?危険だわ、私にとって女の幽霊さんの方が同じ女として安心だよ。
―カチッ
「「!」」「?」
ナイスタイミングなのか?突然全ての机のガス台に火がついた。もちろん誰も触っていないさ。
こりゃ来たな…
『せんせー』
その声はどこから聞こえてきたのかわからない。
発信源がないのだ、まるで四方八方から出ているかのように耳に入る。獄寺達も同じのようだ。
せんせー。と呼ぶ小さな女の子、だけじゃなくて小学校低学年くらいの男の子と女の子…7人。
笑いながら包丁やらフォーク、スプーンを教室の真ん中の机に置いて行く。
やばいな。これはやばいと思う。獄寺が体を使って「こっちに戻れ」だと思うがジェスチャ―していた。
迷った。その幼い少年少女が可愛くて疑うのは悪いかなーなんて戻るきなかったけど、雲雀に「まぢで来ないと殺す」なーんて本気で睨まれちゃったら、戻るしかないじゃーん
行かなかったら自殺行為じゃーん。
静かにゆっくり2人の傍によった。
―…♪
「「「!」」」
やられたな…リボンのキーホルダーがついた携帯から着信音が流れる。必死に獄寺がすぐさま消したがやっぱバレないはずがない。
おそるおそる子供たちの方に目をやる。
「やっぱ可愛くない」
「群れてる」
「やべぇ」
眼をかっぴらいて彼等はこっちを見る、見る、見る。
笑う、笑う、声をあげて笑ったのだ。
一番まともな発言をしたのは獄寺かな、群れてるて何さ。ちなみに君も今群れてるんだよ。
『せんせーこない』『あそんじゃおー』
―きゃははっははははははは!!
耳が痛いなんだこの声…
教室から出ようと前に進もうとしたら冷たいものが足に巻きついた。
下に目をやると女の子が私の足に抱きついてこっちを見ている。
冷たい!足がぁああ!締め付けられるぅ!
『おねぇちゃん。どこいくの?』
―ぐちゃ
足が掴まれて動けないせいで嫌でも目の前の光景が目に入る。
『せんせー』と言われる人が包丁や、フォークで刺されていく。
飛び散る血に、泣き叫ぶ声。眼の前の光景が信じられないとばかりに雲雀は私の腕を何事もなかったかのように掴んで引っ張った。
獄寺はこっちに襲いかかろうとしている子供たちを食い止めている。その間にも『せんせー』はボロボロになっていく。スプーンでえぐり取られた目玉を火であぶりそれを食べる少年。まだ、生きている『せんせー』の頭を2人ががかりで押さえて火につけたり…
狂っている。狂っている!
教室から悲鳴は消え笑い声と無惨な音が響き渡る。
『あそぼー?』
仔首を傾げて私の足に抱きつく少女。正直あそびの内容次第で遊びましょ。
おねぇさんキュン死にしそうだよ。
雲雀が痺れを切らして蹴飛ばそうとしていたので捕まれている方の足を無理やり下げた。いくらお化けだと言っても相手はまだ何もしてきてない。それにまだ子供なんだぞ。
「ごめんね」
そう言って頭を撫でたらその子は悲しそうな顔をして離してくれた。
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