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↓の続き 炎真



ボンゴレの継承式で「シモンの血」を取り戻して一度屋敷に戻ると今まで行方不明だった名前が千切れた手枷を手首にぶら下げて広間に座り込んでいた。

「名前っ!」

名前を呼ぶと力なくこちらに振り向いてまるで自嘲するようにクスっと笑った。
僕は急いで傍に寄って肩に触れようとしたが、振り払われた。

「炎真に何をするっ!」

手を叩かれる時、名前と眼が合った。その眼差しはとても苦しそうで哀しい目をしていた。
山本武をやったのは僕等だと告げた時のツナ君と同じ眼…何で名前がそんな眼をするんだよ!
拳を握りしめたら何処にあてればいいのか分からない苛立ちが込み上げてきた。
アーデルハイトは慌てて無表情になった名前の両肩を掴んで揺さぶる。ラウジ達は僕に駆け寄った。

「アーデルハイト…私もう分からないのよっ」

「何で急に…それに手だって無理やり鎖を外したからボロボロじゃないか!」

「どうしたらいいか分んないっ…」

「!これから大事な時なんだ私達はお前の話しを聞いてられる暇はないっ…」

話しを破る様にアーデルハイトは立ち上がりこの場を去っていった。
跋が悪そうに薫やラウジ達もその後を追って行って、残ったのは名前と僕。

「名前は僕の事嫌いになったの?」

話しかけたら返事は返ってこなくて、僕の方を向いてくれるわけでもない。

「どうして黙ってるの?何が分からないの?そんなにボンゴレがいいの?それともツナ君の事好きになったの?獄寺くん?山本くん?僕に言いたいことがあるなら言えばいいじゃないか!」

首を横に振るだけで口は開かない。スカートの裾を握りしめて俯いている名前が何をしたいのか僕には分らない。
その手枷は何?今まで何があったの?どうして僕の前から突然消えたの?その眼は僕が嫌いになった以外になんの意味があるの?聞きたい事は沢山あるんだよ。
だからちゃんと答えてよ!

「どうして、私は炎真の事を嫌いになれないのっ」

口を開いたと思えば何を言ってるんだ…
全然僕の問いの答えになってないし。嫌いになれないとかそんなの知らないよ。寧ろなんで嫌いになる必要があるの?

「私ね、ずっとずっと炎真の事が好きだっんだよ。家族思いな所やファミリーを守ろうと必死な所とか人を疑わない純粋な所とかさ…」

過去形で言われたのは気に入らないけど好きだと言われて嬉しかった。一緒に居る間に僕のいいところを見つけてくれていた名前をもっと好きになった。だから「僕も名前の事好きだよ」と言ったら何故か首をまた横に振られた。

「炎真は私なんかどうでもいいんでしょ!」

突然立ち上がって僕の方を向いた名前の眼からは涙が溢れていた。

「そんな嘘つかないでよ…!ねぇ、あんなに一緒に居たのにどうして私は嫌いになれないの!」

「違う!そんなわけない!僕はっ」

僕は名前を好きだ、と口に出せなかった。
だって僕は名前を好きな癖して、一度も名前の事を知ろうとしなかったし、信じようともしなかった。
家族やファミリーの事だけを優先していたのは本当で、その間に名前がどれほど辛い思いをしてたのかも今、眼の前でそう言われて知ったんだ。

「お別れしよう」

いつも見たいに優しく微笑んで僕の横を通り過ぎようとした名前の手を掴んで強く抱きしめた。

冷えた身体を温めて


君は僕の肩で眠る。

「まさか気絶させちゃうとはねー」

「ジュリー見てたの…」

「炎真も大胆♪そんなに好きなの?」

「好きだよ。だから離れるなんて嫌だ」

ねぇ、どこにも行かないでよ。
僕の傍を離れないで。拒まないで。

手はもうボロボロだから足枷をつけて部屋に閉じ込めよう。
眼を覚ましたらきっとまた何処かへ行こうとするに決まってる…

「これ、誰にやられたんだろ?」

「うわっ!超痛そーじゃん!」

「戻ってきたからいいか…」

(やったの俺チンなんだけどね)
(結果オーライ?)



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