炎真は一度もあたしを見てくれない。家族の事や復讐ばかりを相手にしている。確かに自分の家族が殺されたら許せないよ。あたしだって殺したいほど憎いよ。でも、炎真は殺した奴じゃなくてその子供だからって理由で復讐しようとしてるじゃないか。それは間違ってるよ。ボンゴレT世の子孫だからなんだよ。彼が直接何かをしたけじゃないじゃないか!
「いくら止めたって聞きやしない」
「そりゃそーだろうね♪炎真にお前なんか見えちゃいねーもん」
「そりゃ女としての魅力がない事くらい自分でも分かってるよ…」
ジャラジャラと私を束縛する手枷が邪魔でしょうがない。あたしは何日間この部屋に監禁されてるんだろ?ジュリーは炎真の命令だと言ってるけどほんとにアイツがこんな事を指示するだろうか?
「うーん。魅力はめっちゃくちゃあるよ?それが」
「っ!!」
顔を掴まれ無理やり上に向かせられる。振りほどこうにも脱出しようと力を使いきってしまい抵抗しても意味がなかった。ジュリーって確かに変態チックってーか、エロかったけどこんな事する奴じゃなかったよな…変に一途だった気がするし…
「オレちんの邪魔なんだよねー♪」
「な、にそれ…!」
「えー?だってオレちんを疑い始めちゃったし?ボンゴレ撲滅反対だし?名前ちゃんほっといたら危険じゃーん」
「あんた一体!」
手首に力を振り絞って掴んだが意図も簡単にその手は振りほどかれてしまった。とりあえず顔の自由は取り戻したが今度は肩を掴まれ壁におもいっきり押し付けられた。逃げるなって事か?女の子はもっと優しく扱え!
ジュリーはニヤリと笑い「ヌフフフ」って…え?何その笑い方!こ、こんな笑い方する奴あたし知らないよ!
「でも、炎真は名前ちゃんの事信じなかったみたいだねぇ♪」
震えが止まらなかった。逃げられないと分かったのと、炎真はあたしをシモンファミリーとして最初から認めてなかったんだと思ってしまったから。
「ん、じゃ!ぜーんぶ終わるまでこの部屋で良い子で大人しくしてなよ?」
まるでお兄さんの様に頭を撫でるとジュリーに化けた誰かは部屋を後にした。厳重に鍵を外側からちゃんと掛けて。
毎日、アーデルハイトとかはあたしの元に来てくれた。その度にその日あった出来事を一杯話してくれて「協力する気になったか?」と最後に期待を込めた眼で聞いてくるのだ。あたしは苦笑いで「ごめんね」と返す。水野はお菓子とかを持ってきて一言二言話すだけだけどいつも辛そうな顔をしている。あたしがそうさせているんだ。分かっているけどあたしは炎真のやり方に賛成はできないんだよ。
炎真は一度もこの部屋に来てくれない。好きなんだけどなぁ。シモンのボスとしてじゃなくて1人の男として愛してんだけど伝わらないんだよね。昔から炎真は妹だとかお母さん、お父さんって家族っ子だったしね。きっとその頃からあたしは邪魔な奴だと思われていたんだろう。そりゃ信じてもらえるわけないよね…
あぁ、もう疲れちゃったよ。
冷えた心が悲鳴を上げても
名前がいなくなってしまった。
今でずっと僕の傍に居た彼女はいない。
「僕は名前と会ったら何て話したらいいんだろう…」
「普通でいいんじゃね?名前の事はオレちんが必ず見つけっからお前は戦いに集中しろよ?」
傍に居るのが当たり前だと思ってた…
あの時、名前の話しをちゃんと聞いてればよかった。
名前の言ってる事は正しかったのに。
それでも僕は許せないって分かってくれるまで何度も話せばよかった…
(ほんと扱いやすいよお2人さん♪)
(その感情が邪魔なんだよねぇ)
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