私は彼の金髪が好きでよく髪を抜こうとした。そしたらジョットは困った顔をして私の髪を抜こうとする。
一本だけど人為的に抜かれると痛いもんだ。だから私は絶対抜かれないし彼も私に髪をくれない。
自警団の頂点をやりだしたジョットは凄いや。私なんかもう傍にはいれなくなっちゃったね。みすぼらしい自分の格好が鏡に映り溜め息を吐いた。ジョットと私は違いすぎる。私は家で1人ぼっち。帰りを待ってくれる人もいないし誰かを待ってる事もない。
暖炉の前にある椅子に足を抱え込むように座る。いくら部屋が温かくなったって夏になったって私は冷たいままだ。
ジョットは家に帰るとGとかが迎えてくれるんだろうな。ジョットは寒くても温かそうだ。あの金髪は太陽を表してるのかな?だから冷たい私もジョットの傍にいるとあったかくなれるんだよ。
「俺の家に来い。名前」
「……えっ」
雪の降る今年一番の寒い日にジョットは私の家に訪れた。いつも通り暖炉の前にいた私に手を差し出したジョットを凝視する。疑問系じゃないんだ。ジョットらしいけどさ。
ジョットは柔らかく微笑んで私の返事を聞く前に抱き上げて私の冷たい家を後にした。
「ど、してっ?」
彼の首に腕を回して抱きついた。お姫様だっこは嫌いだった。ジョットはよくしたがるけど私の格好では彼と釣り合わないから嫌だった。
もしも、綺麗なドレスに身を包んで可愛らしい髪飾りをつけていたらこんな風に思わなくてすんだのに。
ジョットが私の傍に居なければ1人の寂しさもしらずにすんだのに。
温もりを知らなければ、私は冷たくても平気だったのに。
貴方を求めずにすんだはずなのに―…
「俺がお前に綺麗な服や髪飾りに、温もりをやる。そしたら名前は俺がこうやって抱き上げても嫌じゃないだろ?」
「私なんかにっ、そ、んな」
超直感で私の心を読んだはね…
ずるいよそんなの。
でもね、身分が違い過ぎるよ。どんなに格好を良くしたって地位なんか変わらないもの。
分かってるのに私は抱き締めてくれてるこの手を離さないで欲しいし、私もこの手を離したくない。
「名前は俺が惚れた女なんだ。身分なんて一番上に決まってるだろ」
惚れているのは私だよ。ジョットの髪が欲しかったのだって温かい太陽を傍に置いておきたかったからで、一番ジョットの傍に居たいのは私だったんだ。
「名前が俺の傍を離れたくなっても俺は絶対お前を手放したりしないからな」
雪がひらひらと降り続ける。積もった雪にジョットの足跡が残っていた。その後を見て私はそれさえも愛しいと思えた。
恋い焦がれた太陽
(やっと近づけた太陽に)
(もう髪なんかいらないだろ)
(今度はジョットが欲しい!!)
(名前は大胆だな)
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