[携帯モード] [URL送信]
こんなことを話したかった T世



私に超直感があったらきっと人間を怖いとなんて思わなかっただろう。でも、ジョットに超直感を頂戴って頼んでも彼はそんな私を抱き締めてお前はこんな力をもたない方がいいって子供をあやすように言うの。

不貞腐れてるのを表すように頬をふくらますと彼は私の頬を温かい両手で触れて寂しそうな目で私を見るのはどうして?
私は此所にいるのにどうして貴方はさびしそうなの?その目には何が移ってる?私はどう見える?汚れてる?それとも霞んで見えないのかな?私にはジョットがはっきりと見えるよ。

「全て見えてしまうのは怖い?」

「名前には超直感や読心術が使えなくても俺の全てが分かってしまうんだ」

そうじゃないのよ。私はジョットが好きで愛しているから私が愛しているジョットはきっと私が「超直感を頂戴」って駄々をこねたらそう思うと思っただけなの。私はジョットが困ると分かっていてそうしたんだからほんとはずるいんだよ。だから全部わかっちゃうわけじゃないの。ほんとはジョットが読心術を使ってどれだけ傷ついたのかとか鋭い直感の所為で一杯辛い思いをしてきたのかどうかなんて分からないもの。

「俺はこの力が怖い。どんなに信じたい人間でも読心術を使ってしまえばそいつが裏切るのだって分かってしまう。超直感はどんなに大切な人間でも自分に害をなすのだとわかってしまうんだ」

「それを知りたくないの?」

「ああ、俺はどうせなら人を信じて最後まで有りの侭で死にたいんだ」

「ジョットもやっぱり私の嫌いな人間の部類になってしまうのね」

「やっぱりお前もこんな俺は嫌か、」

「そうじゃないわ。私が言いたいのはジョットも私を傷つけるんだって意味よ」

嫌いと言われてショックを受けるジョットはきっと他の事なんて考えられていないだろうから説明しないとダメみたい。そーゆう所は疎いのね。

「人を疑わないジョットは好きよ。だけど裏切られると分かっていて信じて死のうとするジョットは嫌い。置いて行かれた私はどうすればいいの?私に悲しい思いをさせたいの?そうやって私に辛い思いをさせるならジョットも嫌いになるわ」

意味が分かったジョットは優しく微笑んで私を強く抱きしめた。彼はマフィア向きじゃないんだ。自警団は人を守るためのものだけどマフィアはちょっと違うじゃない。プライドとか仁義を全うするものだもの。彼は自分の大切な者のためなら、愛する者のためとあらば紙屑のように捨て去るに違いない。

「そうだな、お前を悲しませはしない。俺は人を信じてもお前を残して死んだりしない」

「絶対よ。死ぬのはだめだからね」

彼が私に読心術を使わないのはきっと私を信じているからじゃないんだろうな。私の本当の心を知ってしまって本当は敵だったなんて知るのが怖いからなんだろう。そんなわけないのにね。ジョットを殺すくらいなら私は自分に自分で刃物を突き立てるわよ。

こんなことを話したかったわけじゃないのに


(人間が怖いと言ったお前は)
(俺だけを信じてくれてる)
(そんなお前を俺が、)
(疑うはずないだろう?)




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!