次の日、俺はボスらしく自分の部屋で書類に目を通していた。 ―コンコン とドアを叩く音がして、山本の声が聞こえた。 任務から帰ってきたのか…じゃあ、報告かな? 報告書を俺に渡す山本の顔は最近では見せなかった爽やか笑顔だった。どうしたんだろ? 「ツナ!今日有里にあったのな!あいつ昔と全然かわりねーな!」 そう言って笑いながら話す。だからか… 「俺と獄寺君も昨日会ったんだ。山本も呼ぼうとしたけど有里、用事あったみたいで…会えてよかった!俺も全然変わりなくて、なんだかほっとしたよ。」 この仕事について、山本は作り笑いをするようになった。 野球と仕事、どっちをとるかなんて山本にとって選ぶ事の出来ない選択なんだ。 これは、俺からは何とも言えない事。そして、罪悪感を感じる1つ。 でも、今は本当の微笑みだ―… 「俺さ、やっぱ野球やるわ!」 「え、じゃあ…」 悲しい答えだけど、山本が決めたことなら… 「趣味としてな!別に試合がしてーわけじゃないからさ!今日あいつに言われてよ!仲間とやるから楽しいんだてな♪」 …――そっちか。 「そっか、俺もいいと思う!趣味かー俺もなんか作ろうかなー」 「お、ツナも野球にしろよ!」 「お…俺!?」 無理だな… それにしても、本当にすごいな・・・流石お母さん並の思考なだけある。 山本の悩みを解決するなんて・・・俺は、この問題にはどう対処していいのか解らなかったのに・・・ それをこうも簡単に…さすが、有里!尊敬するよ!! その後、任務帰りの雲雀さんからも有里にあったと言われた。 「あの子は昔と何一つ変わりない」と言って、一瞬だけだけど笑ったような気がした。 雲雀さんのお気にいりだったからな、いろんな意味で。 かなりの暇つぶしだっただろうな… 次にランボとお兄さんなど、どうやらみんな彼女に会ったらしい。 しばらく此処に滞在するのかな? 此処はボンゴレのシマだ。 その治安を守る俺達と会わない事がないはずがないか。 たまには散歩して見るものだな。 昨日の出来事がこれからに大きく影響するとは俺は思いもしなかった。 |