「あやまる?」
「あれ?ツナ知らないの?あたしさーツナ達が高校卒業してイタリア行く時ね、凄く嫌でヒバードに雲雀の悪口教えたんだよね。」
「そうだったんだ。でも何で、ヒバード?」
聞けば少し照れていた。
でも、なんとなく分かる有里が素直に「行かないでほしい」なんて言うはずがない。
「そうすれば、怒って雲雀は残るし、ツナ達も雲雀を連れ戻しに来ると思ったから。」
確かに雲雀さんを空港まで呼ぶのは大変だった。
何かを探していたような気がしてたけど・・・
「あの後さー、雲雀がイタリアに行くまでずっと逃げたなー。」
「有里を探していたんだ。」
「でも、ツナ達が残る事はなかった。京子や私たちを置いてイタリアに行っちゃった。」
飲み物を全部飲み干すのと同時に昔話は終わった。
とても悲しい終わりで。
今まで言えなかった君の本音は゛有里らしくない゛ものだった。
それが本当の有里で、俺が今まで憧れてきた人の隠してきた部分。
それを、今になって初めて見た。
知ろうとしなかった事、知ろうともしなかった事、君は昔も今も俺をちゃんと見ていてくれる。
なのに、俺はいつも眼を逸らしていた。
「今日は、それで・・・」
「うん。本人いないからしょうがないよね!
それに、ツナ達とまともに話すのこれで最後だからさ。
ちょっくら顔見に来たの。この事あの婆に知られたら大変だから。」
今もほら、ちゃんと君は全てを見ている。
俺には見れない事も、有里は見ようとしている。
「お母さん?だよね・・・」
「うん。」
俺は君を此処で引き留めることはできない。
できないのが、凄く悔しい。
有里の邪魔をしていいのか・・・
凄く不安だ。
「バイバイ。」
そう言って君は席を立ち俺達の前を後にした。
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