「はぁ〜」 学校の校長室・・・ よりも大きくて高級そうな部屋で私は部下を待っている。 ソファーに寝っ転がったり窓から外を見たり、椅子を回転させたり・・・。 時間はすぎていく。 誰も来ない。 「暇だ。」 いや、暇でいいんだけどさ。 それが一番いいんだよね、 本当は。 ボスの仕事部屋?て言えばいいのかなこの部屋は・・・ 父さん?やっぱ母さんから受け継いだこの部屋。 子供の頃探検したっけなー。 椅子に深く座り本棚を見つめる。 懐かしいな。 もとは、父の座っていた椅子に、自分が座っている。 父から見た幼い私はどう見えていたのだろうか? 『―-何?』 『あれは、ね』 私の質問に笑って答えてくれたな。 好奇心と興味をがる女の子に育った。 人一倍負けん気が強くて他のファミリーの子に負けたくなくて運動も勉強も頑張ったけなぁ。 姉は特に自分中心に物事をとらえていた。 だから、勉強も運動も「自分がやりたくないからやらない。」それで終わりにしていたっけなぁー そんな姉だからこそ、いつも褒められていた。 できない事ができたら褒めるのは当たり前だ。 でも、できて当たり前の事をできて何故褒める? それが幼いころから不思議だった。 父さんはそんな私を見据えてか母に褒められる姉を見て自棄を起こしているといつも「お前は凄いよ。」そう言って肩車してくれた。 私は父さんに肩車されて屋敷を回るのが好きだったな。 歩けばファミリーの笑顔が飛び交うあの屋敷が、大好きだった。 この、部屋には思い出がつまりすぎている。 楽しかった、時間も。 狂ってしまった時間もまた・・・ 『ねぇ、ねぇ、あの本は何?』 『あれは、ね。秘密だよ。』 悪戯な笑みを浮かべる父。 興味なさげにお茶を飲む姉。 私たちの会話を楽しそうに聞く母。 そう言えば・・・ あの本は結局なんだったんだ? 『えー!どうして?』 『有里が自分で気づくんだ。』 父さんの秘密。 いつも、教えてくれたのに。 何で、これは教えてくれないんだろ? 『じゃあ、読むからとって!』 『だーめ。』 『えーーー!!』 本当に取ってくれない椅子に座ってしまった父を見てぶすくれていると、母が私と同じ高さにしゃがんで手をとった。 滅多にないと事なので凄く驚いたな。 『あれはね、有里が自分の手で取って開かないと意味がないのよ。』 『だって、高くて取れないよ?』 『じゃあ、有里がお父さんとお母さんくらいの身長になるまでまたないとね。』 『それって、どれくらい?』 『さぁ?10年・・・くらいかな?』 『わかった!まつね!!』 あれから、15年たってしまった・・・ すっかり忘れていた。 それと、家にいなかったからもあるか。 |