卑怯だよね、ずるいよね。 それほどまでに君がほしい… 眼の前に居る君は、俺の知っている有里ではない。 俺に銃を向け無表情で冷酷な眼を向ける彼女は、裏社会の者だ。 一瞬の隙も見せない。 冷たい空気、思い沈黙。 ただ、ただ、俺達はこれが嘘であってほしいと祈る。 すべて、すべて夢であれば…また、あの時のように笑って「冗談だよ」と、笑ってくれ。 俺は何も答えることはできなかった。 現実を受け入れたくなかった。 ―ガチャっ 「!!」 重い沈黙を破るドアが開いた音。 音のする方を向けば、入って来たのは部下の人達だ。 「ボス!大変です!お嬢さんが…」 その声と同時に彼女は部屋を飛び出していった。 俺に向けられていた殺気はなくなり、眼の前を囲んでいるのは彼女の部下だ。 名の上がる殺し屋もいる。 全部彼女の部下なのか…? 「俺達はいつまで此処にいればいいんですかね?」 そう聞くと奥から出てきた女の人が答える。 |