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伝わる






「隼人」



俺の名前を呼んで

顔を真っ赤にしながら必死に抱きついてくるさえかを愛おしいと思った。




昔から不器用だった俺達は

手を繋ぐのにだって

キスをするのにだって


なにをするにも時間がかかった。


それでも今はなんとかさえかに愛の言葉くらいは言ってやれるようになった。

素直に気持ちをさえかに伝えられるのが嬉しくて

毎日言ってやる。



そのたびに真っ赤になるさえかが可愛くて病み付きになってしまった。




さえかは今も昔も不器用なところは変わらなくて

俺に好きだの愛してるだのそんなことが言えるわけがない。



それでも俺は別に寂しいとかなんて思わない。



−それはきっと



言葉にしなくたって
お前の気持ちはふれあってる部分から十分に伝わるから




素直に言えないことを

お前は気にしてるみたいだけど



そんなの直そうと思わなくてもいい。



−だって



それがお前なのだから。

そんなお前が大好きなのだから。









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