いつも一緒に
ソウの憂鬱(画策後)
時間はとうとう深夜をまわり、場所は総の家。
玄関に、ドサリ、と人が落ちる音がした。落ちた、いや、落とされたのは晴だった。
「いたっ」
床に背中を打ち、背中を痛めた晴は落とした張本人の総を睨み上げた。
「総っ」
「布団、自分で敷けよ」
名前を呼ばれた総は晴を無視し部屋に続く階段を上がる。
自室に入った総は服を脱ぎスウェットに着替える。その途中、下からガタンと音が鳴った。総はため息を吐き、再び下に向かうとリビングの床に晴が悶絶しのたうち回っていた。
「…何してんだ、お前」
晴は涙目を総に向けた。
「み、水飲もうとしたら、ふらついて、角に足の指ぶつけて」
あまりの痛みから後ろに倒れ、今度はテーブルに腰を打ったらしい。
「総、あたしもう駄目。このまま寝る」
「布団敷いて寝ろ」
「もう面倒くさい。いいよ、ここで。床暖があったかいー」
総は顔をこれでもかと歪ませた。
「この、くそ酔っ払いが」
盛大にため息を吐いた後、乱暴に晴を起き上がらせ部屋に向かう。その時、玄関のインターホンが鳴った。こんな時間に、と顔をしかめながら総は玄関を開ける。すると――――
「――――総ーっ!鈴村信人、ただいま帰りましたよー!」
テンションマックスで声を張り上げ入ってきたのは信人だった。顔を真っ赤にさせ、晴以上に酔っ払っていた。
そんな信人を支えるのはバンド仲間の久賀慎二だった。慎二はふらつく信人を支えながら、こちらを凝視する総に苦笑した。
「…悪ぃ。あんま飲むなって言ったんだけどよ、止めらんなかった」
「……」
総は今年一番、盛大に顔を歪ませた。その顔には明らかに、くそ面倒くせー、と書いてある。
「――――総ー、眠いー、寝かせろー」
後ろからは晴の催促が。
「総、何その顔!超おもしれーんだけど!てか酒ねー!?俺まだ飲みてーんだけど!」
前からも信人の催促が。
総が思わずその場にうずくまり
「……お前ら、いい加減にしろよ」
とぼやいたのは言うまでもない。
ソウの憂鬱
(テメェら纏めて仕置きだ)
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