頂き物小説
いぬ。D
「じゃあ、ボク帰らなきゃ」
あの道で、ヒロトはそう言った。
あたしは、俯いてしまった。
「奈希ちゃん?」
そんなあたしを心配してか、ヒロトがあたしの頭を撫でる。
「………なか、なおり」
「え?」
「仲直りは……早いほうが、いいんだよね」
沈黙が、流れる。
ヒロトは答えてくれなかったけど、それでも居てくれるだけで安心した。
もしかしたら、もう居ないかもしれない。と何度あたしは逃げただろう。
でも、もう逃げない。
あたしは、ぐっと顔を上げて、ヒロトに言った。
「ついてきて」
ヒロトは優しく微笑んで、頷いた。
――――――――――――
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!