頂き物小説
いぬ。C
翌日

「………さりな!」

 あたしは、喧嘩した友達―さりなを呼び止めた。

「奈希……」

 気まずい空気。
 あたしは、意を決して、さりなに伝えた。

「ごめん!」

 三文字の言葉を言うに、こんなに勇気がいるなんて思わなかった。
 さりなは、少し驚いたように眉をあげたが、笑ってあたしに声をかけた。

「私のほうこそ、ごめんね、奈希が、普段からあの口調だって知ってるのに」

 もう一度、ごめんね、と繰り返す彼女に、あたしはもういいよと、笑った。笑えた。


 全て、ヒロトのおかげ。

「あ!奈希ちゃーん!」

「ヒロト!」

 校門を出ると、ヒロトがあたしを待っていた。

「奈希ちゃん、仲直りした?」

 小首を傾げてあたしを覗き込むヒロト。
 あたしは、素直に笑って言った。

「ヒロトのおかげだよ!」

 ヒロトは、照れ臭そうに笑うと、歩きだした。

「奈希ちゃん、ほら見て!」

 あたしを呼ぶヒロト。

「奈希ちゃーんっ」

 なんだか、悪くない。

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あきゅろす。
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