NandS
其の1
「な、なんで…」
春。
それは出会いの季節。その出会いの季節に運の無い男がいた。その男とは────。
「───新入生代表 香村 七海」
今日、都立J高等学校は入学式があった。新入生達は緊張した面もちで新入生代表の言葉を聞いていた。そしてその代表の女子生徒は言葉を言い終わるとくるっと生徒達の方を向いた。代表の女子生徒は黒髪を腰まで伸ばした子で目はつり目がちで気の強そうな少女だった。彼女は二年生の一角を見るとニヤッ笑い大きく息を吸い込んだ。そして

「せーーーいちーーー!!」

叫んだ。

二年生席。
「せーーーいちーーー!!」
声が聞こえた。せーいち?セーイチ?誠一?俺か?いや、俺じゃ無いな。名前が同じ奴なんてそこらへんに沢山いるだろ。うん、俺じゃ無い。俺は眠いんだ。寝直そう。
「二年五組 16番 聖 誠一!!」
ん〜?聖?珍しい名字だなー…。誠一?またその名前か…。聖 誠一って奴も大変だな。こんな公(おおやけ)の場で………って聖 誠一?
!?!?!?
ガタンッ
「やっと起きたのね、せいちゃん?」
そして冒頭へ戻るのだ。
「な、なんで…」
少女・香村 七海は満ち足りたような笑顔で壇上から降りた。
「七海が…」
せいちゃんこと聖 誠一は顔を青ざめつぶやいた。
教師や生徒達が今起きた出来事に戸惑いを隠せずざわめく中、入学式は幕を閉じた。

[次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!