extra……*
夜と朝の狭間
┗NandSより
ここ…どこ…?
真っ暗で何も見えない。何も感じない。
とにかく何か情報を得ようとこの空間に手を伸ばしてみる。
………ん?これは何?
手を伸ばした先にあったのは、何かは分からないけど感触からすると石みたいなモノ。小さい石じゃなく両手で持てるような大きさの。あたしは触ってるだけじゃ駄目だと思って持ち上げる事にしてみた。
「…っん!」
…意外に重いのね。でもこの七海様にかかればこんなもの…
「朝飯前よぉぉおぉ!!」
あーはっはっ!どうよ、七海様にとっちゃあこんなもの……え?

ガラガラガラ…ドッシャン!

うわっ眩しっ!!
あたしは持っていた石を地面に落とし手で顔を覆った。

『ウオォォォオォ!!』

何っ?!何事?!
あたしはゆっくりと目を開けた。「?!」
何よこれ…。開いた口が塞がらないとはまさにこの事だわ。
そこにいるのは人・人・人の山!男に限らず女まで。
「おい、テメェ等!この女を捕まえれば賞金10億だ!捕まえた時に死んでたら5億!誰が捕まえても文句なしだ、いいな!?」
『ウオォォォオォ!!』
この女ってあたしよね。明らかにあたし指差されてる。っていうか、あたし10億の価値があるの?それはちょっと嬉しいかも。つーか殺す気か?!これはひょっとしなくてもヤバい?命の危機?寧ろ日本経済の危機?なんてね。
兎に角ここは逃げなきゃヤバいだろ。そうと決まったら
逃げろ!!
「あっ!逃げた!」
「追え!!」
うわー来たよ。絶対100人以上いるよコレ。
「待て!!」
待てって言われて待つヤツいるかっつーの!!

ビュンッ

「うわっ!」
今飛んできたの矢だよ?!矢!!危ないって!!
「ちょっ危ないでしょ!止めなさいよ!!」
マジ危ない。また飛んできたし。って!!行き止まり?!
「追い詰めたぞ」
んなの言われなくても分かってるってば!クソッ、もっと人数が少なければ素手で倒せるのに。何か武器になるような物があればもっと楽に相手に出来るのに…!!
「逃がさねぇ」
グヘヘと笑う男。気持ち悪い。コイツ1人だったら倒せる。けどここで手を出せば周りのヤツ等が動く。下手に手は出せない…!

ゴンッ
ドサッ

え…?今…?
「七海、お前らしくないじやん」
この声…。
「世界はお前中心に回ってるんじゃねぇーの?」
まさか…。
「ったく、情けねぇ顔してんじゃねぇよ」
誠一…!!
「なんであんた」
「テメェ…何邪魔してんだよ」
「コイツは俺の知り合いなの。助けるに決まってるだろ」
「アァ?テメェ裏切るのか?!」
「裏切る?俺あんたを裏切るほどあんたと仲良くないんだけど」
「んだとゴルァア!!」
話についていけない。それに分からない事が増えた。何で誠一がここにいるのかとか、あたしを助けに来たのかとか。
「(無視)行くぞ七海」
そう言ってあたしの手を引っ張ってくれる誠一が何か悔しくて、でも嬉しくて。つい憎まれ口を叩いてしまう。
「誠一が助けてくれなくてもあたし1人でなんとかできたのに」
「ハァ?お前完全に諦めてたじゃねぇかよ」
「そんなことないわよ!だいたい何よアレ、格好付けちゃって」
「うるせぇよ格好付けてねぇよ」
「ゼッタイ付けてる。付けてないなんて言ったら誠一ホント」
「だぁー!!少し静かにしてろよ!つーかお前たまには人頼れ!普段はパシるけど、こういう時に限って人を頼らねぇんだから…」
「何よ!!」
「だから、頼れ。七海に危険が迫ったら守ってやる。七海が助けて欲しかったら助けてやる。だから俺を頼れ」

ボンッ

「なななななな何言ってるのよ、せ誠一のクセにな生意気よ!」
なんなのよっ!!顔が熱い〜!こんなの誠一じゃないわ!普段はもっとバカでマヌケで情けなくて…あー!こんなの誠一じゃなーいっ!!



ゴン
「ったぁー!」
目を開けると見慣れた自分の部屋。
「夢…か…」
なんだ夢か…良かった〜!

学校にて。
「おはよー七海ちゃん」
「おはよう公ちゃん」
「あっ誠一だ。せーいちー!!」
「あ?おぉ七海と公太じゃん。はよ」
ボンッ
「どうしたの?七海ちゃん」
「───の」
「なんだよ」
「誠一のバカーーーー!」
「あーあ走って行っちゃったよ」
「なんなんだよ七海ヤツ」
「……はっはーん」
「なんだよ気持ち悪ぃな」

end

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