[携帯モード] [URL送信]

短冊集
☆打つべし(カレカノ)
 二人は幼なじみ。小さなときからよく一緒にいる。
 彼はあまり社交的ではないことから、みんなから堅物だと言われている。彼女はそんな彼を振り回すことから、みんなから女王様だと言われている。

 今日は二人で雨宿り。傘を持たずに買い物に出掛けたところ、帰り道で夕立に出会ってしまった。なかなか雨が止まない中、彼女はいつからかボクサーのように屋根の雨垂れをその拳で狙い続けていた。

 シュッ……シュッ……シュッ──

 そう、それはまるでチャンピオンに挑む挑戦者のように。

「楽しいか?」

 飽きることなく同じ動作を繰り返す彼女に呆れた彼が問いかけた。

「ちょっと今っ……練習中だからっ……話しかけない……でっ」

 問いかけに答えながらも彼女は動作を止めないため、拳の動きに会わせて言葉じりが切れてしまう。

「いったいなんの練習だよ」

「そりゃっ……もちろんっ……狙ったものをっ……撃ち抜く──」

 ファイティングポーズをとったまま、くるりと彼の方に身体を向けた。

「──ためだっ……よっと!」

 彼女の拳が当たり、彼の胸の胸元はじんわり濃くなった。

[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!