短冊集 ☆真夏の夜のおくりもの(カレカノ) 二人は幼なじみ。小さなときからよく一緒にいる。 彼はあまり社交的ではないことから、みんなから堅物だと言われている。彼女はそんな彼を振り回すことから、みんなから女王様だと言われている。 今日は友達と肝試し。男女がペアとなることが決まり、当然のごとく二人はくっつけられた。 「いつも一緒だね、私達」 イベント事が好きなためか、彼女はいつにも増して嬉々としている。 「あぁ」 寡黙な性格であるが、彼はいつにも増して無愛想である。 「いつもいつもだし……私じゃイヤだったかな?」 テンションの落ち込みように合わせ、彼女の歩調が落ちてしまった。ルールとして手を繋ぐことになっているので、彼もまた歩調を落とした。 「そんな訳ないだろ。お前の相手、オレ以外に誰ができるんだ?」 「いひひ。そうだよね」 彼の言葉に彼女はすぐに再沸騰し、歩くペースが上がった。むしろ彼をぐいぐい引っ張っている。 「さぁ、おばけなんて出る訳ないんだし、さっさと戻りますか」 「あぁ」 実のところ彼女が一番嬉しかったことは、歩き始めてから彼が彼女の手を強く握り締めていたということ。それを知っているのは自分だけということ。 [前へ][次へ] [戻る] |