短冊集
☆咲き誇れこの想い(カレカノ)
二人は幼なじみ。小さなときからよく一緒にいる。
彼はあまり社交的ではないことから、みんなから堅物だと言われている。彼女はそんな彼を振り回すことから、みんなから女王様だと言われている。
今日は二人で花火大会へ。彼は白いTシャツにジーンズという、ちょっとそこまでの格好だ。彼女は浴衣を着て髪は盛り盛りで、一見して、溢れ出る気合いが見てとれる。
また一つ、また一つ、花が咲き誇り、二人の顔を彩っていく。
「ねぇ」
「あ?」
二人ともお互いの顔を見ず、花火に目を向けたままでいる。花火は二人の顔を照らし、二人を際立たせるスポットライトのようだ。
「花火ってさ……光ってから音が聞こえるよね?」
「ここは目の前だからそんなこと意識できないがな」
「そうだね……」
ちょっとの沈黙。再び花火の光と音が二人を包んでいく。話が流れたのかと思うころ、ふいに彼女が口を開いた。
「私の気持ちはさ……声よりも早く届くかな?」
人込みの中、はぐれないように繋いだ手を、強く握り締めた。
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