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二次創作/夢
泥濘の窓:プロローグ





――泣いた朱鬼の夢、泡沫の如く。





* * * * * *





口ずさむのは、あなただけに捧げる讃美歌。目を落とすのは、あなたが私に残した最後の言葉。

―今だけは、誰にも邪魔されない二人だけの国。



[ … 愛し子、もしお前がこれを読んでいるのなら、私は本懐を遂げたのだと思う。情けない我が儘に付き合ってくれたことに、礼を言わねばなるまい。ありがとう。

さて、これと同時に似たような冊子も見付けている筈だ。そちらは今まで私が治療した子供、ドナー(臓器提供者のことだ)となった人、私が食べた人の名が書かれている。鬼らしい鬼になると決めたのは私なのに、本当に情けないことだ。だが、人としての己を形にして仕舞い込むことで、私は鬼らしく振る舞えているのだと思う。こんな所が中途半端なんだと、自分でも分かっているさ。
勘違いはするな。私は既に人ではないし、鬼にもなりきれない半端者だけれど、お前が私を殺したことを後悔するほど綺麗に生きてないんだ。そんな物は不必要だ。いや待て、生きるというのは正しくない表現だろうか?まあこれは置いておこう …

… 悲しまないでくれ、苦しまないでくれ。むしろ誇っておくれ、愛おしいお前、私のパンドーラ!お前は正しいことをした。私という悪をこの世界から消したのだ。誰もがお前を褒め称えるだろう。

だが一つだけ、かつて人であった男の戯れ言を聞いてくれると嬉しい。

愛しているよ、お前は私の生そのもの、私の神様だった。愛し続けている、肉体を失い、語り掛ける声を失い、塵となっても。地獄の底からお前への愛を歌い続けると誓おう。
さらばだ、愛おしいお前!お前の未来に、溢れんばかりの幸福が降り注ぐことを祈っている ]






< アヴェ・マリア、

恵みに満ちた方よ、主はあなたとともにおられます
あなたは祝福された女性、ご胎内の御子イエスも祝福されています

ああ、神の聖母たるマリア!

わたしたち罪びとのために、
今も、
死を迎える時も、
どうかお祈りください

アーメン >



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